ブロッコリーの白い粉は農薬?食べても大丈夫?野菜の白い粉の正体はコレだ!

食べ物ブロッコリー, 野菜, 雑学・教養

スーパーで買ってきた野菜や果物に「白い粉」がついていた経験はありませんか?

ブロッコリーやブドウをイメージするとわかりやすいですね。

水をはじいたり、果実の周りにベットリ付着していたりする白い人工物みたいな粉です。

もしかして農薬?危険なもの?

農薬でも危険でもありません。

不安に思う人もいると思います。

その気持ちわかります。でも、不安になる必要はありません!!

今回は、野菜についている白い粉「ブルーム」についてご紹介します。

ブロッコリーの白い粉の正体はブルーム(果粉)

如何にも不自然な「白い粉」ですが…

実は、植物が自分で分泌する「ブルーム」という天然物質です。

日本語では「果粉」と呼ばれています。

「ブルーム」は、植物が病気や乾燥から身を守るための自己防衛の一つと言われています。

つまり、当たり前な現象であり自然なモノです。

本当に農薬じゃないの?

農薬ではありません。

むしろ「新鮮な証拠だから、ブルームを残すように丁寧に輸送している」ほどです。

そもそも、見てわかるレベルの農薬が付着していたら大問題ですし誰も買いたいとは思いませんよね?

売り手側から見れば、わざわざ売りにくくする理由がありません。

また、残留農薬の基準も検査もキチンと法律で決まっています。

日本で基準値を超える野菜類が流通するわけが無いです。

 

「ワックスでは無い」と「天然のワックス」って2つ意見があるけど?

イメージしている「ワックス」が違います。

ワックスというと体に悪そうな石油製品を連想しがちですが…

「ワックス(wax)」は英語で「蝋(ロウ)」のことです。

植物が自然に分泌する植物性の蝋。動物が脂肪として蓄える動物性の蝋。

蝋は自然の中で存在する物質です。

ブルームは、蝋の成分が含まれているため「天然のワックス」と呼ばれているのです。

ブドウの白い粉は食べても大丈夫

ブルームが一番気になる食品といえば「ブドウ」です。

皮つきのまま丸ごとで食べる人もいるはずです。

特に小さなお子さんは、白い粉に違和感なくパクパク食べてしまって心配ですよね?

ブルームは食べても安全なモノなの?

蝋成分って体に害はないの?

いくつも不安が湧いて出てきます。

安心してください「ブルームは食べても体に問題ありません!」

ブルームは、主に「オレアノール酸」や「パラフィン」で構成されている蝋物質です。

 

人体に影響はありません。

 

巷では、「ブルームを農薬だと言い、野菜用の洗剤を買わせようとする悪徳商法」が存在します。

ブルームが農薬だと言うのは真っ赤な嘘です。

前述したとおり、日本は残留農薬の基準が法律で決まっています。

流通している野菜や果物を洗剤で洗う必要があるほど農薬が残っていることは滅多にありません。

 

洗剤で洗ったら水が黄色くなったよ?農薬でしょ?

黄色くなるのは別の理由。農薬では無いです

特定の商品名を出すのは控えますが…

よくある野菜用洗剤は水酸化カルシウムが主成分です。

例えば、貝の殻から作り出されている洗剤の主成分は「炭酸カルシウム」です。

炭酸カルシウムは水に溶かすと「水酸化カルシウム」になります。

 

水酸化カルシウムは、タンパク質と反応することで黄色く変色します。

多くの野菜用洗剤は「お米を洗うと黄色くなる」と注意書きされていますが、米のヌカに含まれるタンパク質と反応しているためです。

また、アルカリ性の液体は強い洗浄作用を持ちます。

野菜の表面細胞を溶かし、ブルームや色素が溶け出します。

 

そのため、「野菜用洗剤を使うと黄色く変色する(または濁る)」わけです。

 

農薬や汚れで黄色くなっているわけではありません。

 

言ってしまえば、ごく当たり前の化学反応ってことです。

まるで手品のトリックのようですね。

さて、野菜用洗剤の理由がわかったところで「残留農薬の間違った知識」を見ていきましょう。

残留農薬の間違ったイメージ

「農薬」と聞いてどんなイメージをしますか?

多くの人は「作物の栽培中に散布される化学薬品」と答えるかもしれません。

栽培中に撒かれた農薬は雨や衝撃で徐々に無くなっていきます。

私たちの手元に届くころには、ほとんど残っていないといって問題ないでしょう。

 

もう一つの農薬はいわゆる「ポストハーベスト農薬」と呼ばれているモノです。

収穫(ハーベスト)のあと(ポスト)に使われる農薬だから、ポストハーベスト農薬。

わかりやすく言うと、防虫剤や防腐剤のことです。

 

ポストハーベスト農薬は日本で使用が禁止されています。が、海外から輸入される果物はカビや虫防止のために使用されています。

輸送している間に腐っては商品になりませんからね。

このポストハーベスト農薬は、洗って落ちるものではありません。

ですが、日本で流通している野菜類は残留農薬の基準が法律で決まっています。

国産でも輸入品でも、日本に入っている時点でキビシイ検査を通っているのです。

人体に問題がある農薬量が使われていると考えにくいです。

 

防腐剤には発ガン性があるって言われてるけど?

そこまで神経質ならば国産を選びましょう

確かに一部の防腐剤には発ガン性があるといわれています。

しかし、より強い発ガン性物質である一部のカビを抑えるために使用されていると言われたらどうでしょうか?

「毒を以て毒を制す」とあるように、人体に影響が出ないレベルの薬を使用して実害になる毒(カビ)を回避する。

賢い方法ではないでしょうか?

どうしても農薬が嫌だ!輸入品は信用できない!という方は、国産のものを買いましょう。

回避法はそれしかありません。もしくは自給自足ですね。

ブルーム(果粉)の勘違いまとめ

いかがだったでしょうか?

ブルームについての正しい知識と残留農薬について知るお手伝いができたなら幸いです。

特に、一部の悪徳業者による野菜用洗剤のトリックは知っておいて損はないでしょう。

まとめ
・ほぼすべての野菜や果物には白い粉がついている
・白い粉の正体はブルームという保護バリア
・決して農薬の類ではない
・食べても問題はない

お読みいただきありがとうございました。

参考文献
農林水産省 農薬について知りたい方へ(コラム)
東京工業大学 ブドウのまわりの白い粉をつくる遺伝子を発見
農林水産省 ぶどうを味わう