キャベツが苦い・臭いでお困りの方へ苦味の原因とその理由と対処法を解説

ロールキャベツ・千切りキャベツ・塩キャベツなどなど
食卓に上がる機会が多い野菜『キャベツ』
好きか嫌いかは置いておいて、身近な野菜の一つですね。
しかし、次のような経験をしたことはありませんか?
千切りにしたキャベツが苦すぎて食べられない
昨日切った千切りキャベツが今日になって苦くなった
薬品臭がして怖い
苦味=毒。異臭=毒とイメージする方も多く、農薬や消毒薬が残っているのでは?と不安になるかもしれませんね。
今回は「なぜ苦いキャベツが存在するのか?」「なぜキャベツが臭いのか」「キャベツの苦味の安全性」を解説していきたいと思います。
キャベツの苦味・異臭の原因
苦味の元は『イソチオシアネート』と呼ばれる有機硫黄化合物です。
イソチオシアネートは、アブラナ科の野菜の特徴である辛味・苦味の元です。
アブラナ科(またはアブラナ属)の植物を刻んだり噛んだりすると形成される化合物であり、自然の中に100種類以上あると言われています。
キャベツにはそのうち数種類が含まれています。
刻んだり潰したりすると細胞が壊れて、『グルコシノレート』という化合物と『ミロシナーゼ』という酵素が触れあい加水分解されると『イソチオシアネート』が形成されます。
辛味・苦味の元は『イソチオシアネート』で、更にそれの元になるのが『グルコシノレート』…
わかりにくいので「苦味・辛味として感じるものが発生しているんだなー」程度に考えてください。
キャベツが辛い・苦いってイメージできない!
確かに、キャベツ=辛い・苦いと言った印象は薄いと思います。
例えば、身近なアブラナ科の野菜である「アブラナ」「カブ」「ダイコン」「ワサビ」を摩り下ろした時、辛味・苦味が増すのと同じ理屈だと思ってOKです。
この他、シュウ酸(ほうれん草の苦み成分)もキャベツには含まれていますが、多くの場合は↑が原因です。
茹でたキャベツが薬品臭いんだけど…
上で解説したイソチオシアネートが分解されると『ジメチルジサルファイド』『ジメチルサルファイド』と言った化合物になることがわかっています。
これらは、苦味の原因になる以外に、石油っぽい臭い・消毒液っぽい臭いの元になります。
キャベツやブロッコリー(実はアブラナ科)を茹でると「独特のにおい」がするのもこれが原因です。
残留農薬や消毒液が残っている!と勘違いされる原因ともなっています。
元の元の元である『グルコシノレート』には硫黄が含まれているので臭いのも当然ですね。
苦い・臭いキャベツの安全性は?
腐っていない限り食べても問題ありません。
残留農薬では無く、キャベツに元から含まれる成分から成り立っているものなので安全だと言えるでしょう。
むしろ、これらのグルコシノレート分解物を摂取することで一部のガン予防に役立つ可能性があると注目されています。
苦味があるキャベツと無いものの違いは?
無農薬に拘っているキャベツであっても、安価なキャベツであっても苦味が発生するケースはあります。
イソチアネートの辛味や刺激は、虫から身を守るための役割(防虫効果)があると考えられています。
そのため、自己防衛が必要な環境だったり、強いストレス環境下で育成されたりしたキャベツは苦味が発生しやすくなると考えられますね。
要は、当たり・ハズレがあるってことです。
人体に影響はありませんので、あまり深く考えずに「このキャベツははずれだったなー」と思っておきましょう。
キャベツの辛み・苦味を抜く方法と対策法
食べても大丈夫!と言っても苦いキャベツは食べる気になりませんよね?
それならば、美味しく食べるために苦みや辛みを抜いてしまいましょう!
方法はとても簡単切ったキャベツをすぐに水にさらすだけでOK。
キャベツは水にさらすと苦くなることを抑えられます。
苦くなってしまったキャベツも水に浸しておけば、苦味は和らぎます。
※ただし、切ってから時間がたつと効果は薄くなる
これは苦味の原因が水に溶けやすいから、洗い流せば苦くならないよねっていう単純な話です。
時間がたつと水に溶けにくいものに変わっていきますので、出来るだけ早く水につけるとよいでしょう。
キャベツの細胞が水を吸ってパリパリシャキシャキになりますし、変色も抑えられます。
目安として『冷たい水に2~5分程度浸しておく』くらいでよいでしょう。
水につけると栄養が流れ出すからNGって聞いたけど?
確かに、水溶性の栄養素(ビタミンCなど)は溶け出してしまうので、長時間漬けているのはオススメしません。
しかし、正直なところ、キャベツに含まれる栄養素はたかが知れているので…
『美味しく食べるために水につけて保存しても問題ありません』
苦くなったり、変色してしまったり、萎びさせてしまってはもったい無いですからね。
どうしても苦味が気になるなら、肉などと一緒に炒めて苦味を誤魔化せる味付けにしてしまいましょう。
なぜキャベツは加熱すると甘くなるのか?
「キャベツに火を通すと甘くなって美味しい!」って話は有名ですね。
では、なぜ甘くなるのか考えたことはありますか?
これは前に解説した、辛み成分と関係しています。
『キャベツの蒸し加熱による甘味の変動』によると、生と加熱処理したキャベツに含まれる甘味成分(ショ糖やグルコース)は、加熱前と後で変わらないことが分かっています。
同時に、キャベツの硬さと甘さの関係は、負の相関を示すこともわかっています。
要は、甘味成分は変わらないが、柔らかくなるほど甘く感じやすいということです。
更に、先ほど解説した辛み成分(イソチアネート)は、加熱すると辛みが少なくなります。
つまり、生キャベツは甘いが辛みと硬さのせいで甘味を感じにくい。加熱すると辛みが飛んで柔らかくなるため元々の甘味を感じやすい。という考えることが出来ますね。
まとめ
以上のことから、キャベツの苦味・臭いは人体に影響は無く、むしろ体に良いと注目を浴びている成分が原因でした。
残留農薬や消毒液ではないので安心してキャベツを味わうことが出来ますね。
常備菜として扱うことが多いキャベツも意外と奥が深いことがわかります。
出来る限り有効活用するため、水に浸して苦味・臭い抜きをして最後まで使い切るようにしましょう。
参考文献
日本微量栄養素情報センター:アブラナ科の野菜
食品衛生検査所(愛知県):青果物の相談事例
日本植物生理学会:植物Q&A ダイコンの辛さ
キャベツの蒸し加熱による甘味の変動
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