貝毒とは何か?「わかりやすさ」と「恐ろしさ」特化の食中毒予防解説!

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貝毒とは何か?「わかりやすさ」と「恐ろしさ」特化の食中毒予防解説!

春と言えば潮干狩りのシーズンです!

毎年4月~5月にかけて、アサリを目的に多くの人が潮干狩りに向かいますね。

おいしい貝類を持って帰れると人気のレジャーの一つです。

 

さて、ここで問題です

潮干狩りで最も気を付けるべきことはなんでしょうか?

潮の流れ?危険生物?

 

いえいえ、一番恐ろしいのは「貝毒」です。

 

今回は、最悪の場合…命を落とす危険性がある「貝毒について」わかりやすく解説します。

食中毒予防のため、知っておいて損はありません。

貝毒とは?

言葉通り、貝の毒です。

無毒とされる二枚貝が、毒をもつプランクトンを食べることで体内に毒をため込みます。

これを「毒化」と言い、毒化した貝を人間が食べると食中毒を引き起こします。

 

逆に言えば

プランクトンを食べないタイプの貝は、毒化しません。
※例外があります。後ほど解説します。

サザエやアワビなど海藻を食べる巻貝は貝毒の心配が無いとされています。

 

毒化した貝は食べられないの?

どんな処理をしても食べられません

貝毒は、加熱調理でも洗浄でも消えません。

お店に並んだ貝類はしっかりと検査されているので安心ですが、自分で採ってきた貝類は注意が必要です。

基本的に「管理された潮干狩り場」や「お店に売っている二枚貝」以外は食べない方がいいです。

どうしても食べたい場合、"地域別の貝毒情報"にしっかり目を通しておきましょう。

過去に「浜名湖アサリ貝毒事件」という死者が144名出た大事件があるほどです。

知っている貝だから安心!と思わず、注意しておきましょう。

一旦まとめ

・二枚貝が有毒プランクトンを食べて毒化したものが貝毒
・サザエやアワビなどは貝毒の心配がない
・毒化した貝は煮ても焼いても食べられない

怖さを知るため貝毒の症状を覚えよう

貝毒が発生する理由はわかりましたが、怖さがピンと来ないですよね?

なので、危険なイメージをハッキリさせましょう!

食中毒の症状は「下痢性」「麻痺性」「記憶喪失性」「神経性」に分類されます。

国内でよくある例は「下痢性」「麻痺性」なのでこの2種類について解説します。

早速見ていきましょうか

下痢性貝毒の症状

毒化する貝の種類ムラサキイガイ、ホタテ、アサリ、カキなど
潜伏期間食後30分~4時間
外見での判断不可能
症状激しい下痢、吐き気、嘔吐、腹痛
致死性無し
治療法3日以内の自然回復(解毒法は無し)

分かりやすく言うと

「食後、腹痛が止まらずゲロと下痢を出し続ける症状が1~3日間ほど続く」です。

 

寝られず、不快感も強く、治療法も無く…

病院へ行っても胃洗浄や人工呼吸くらいなので苦痛が軽減されることはない

 

と言えば恐ろしさがわかりますね。

唯一の救いは、致死性が無いことくらいでしょうか。

 

貝の中でも、ムラサキイガイでの毒化例が多いです。

いわゆる「ムール貝」ですね。

海水浴場のテトラポッドや磯に生息しており、採取も簡単です。

しかし、管理飼育されていない場所のムラサキイガイは食べないようにしましょう。

美味しさと比べてリスクが高すぎます。

麻痺性貝毒の症状

毒化する貝の種類ムラサキイガイ、ホタテ、アサリ、カキなど。他一部のカニ
潜伏期間食後30分程度
外見での判断不可能
症状痺れ、運動障害、言語障害、呼吸麻痺
致死性有り
治療法無し(胃洗浄or人工呼吸のみ)

症状はフグ毒に似ています。

「口や下の痺れを感じ、徐々に身体を動かせなくなり息が出来なくなって窒息死」といったところです。

 

イメージできない人は、口を半開きにして呼吸を止めてみてください。

重度の場合、それが治るか死ぬまで続きます。

 

怖いですね。

食べてしまった場合、即病院へ行きましょう。

そして、軽度であってくれ!と祈るくらいしかありません。

その他貝毒について

国内で問題になる貝毒は上の2種類です。

他の貝毒は、一部を除いて割愛します。

気になる人は「厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル」を確認しましょう。

意外な生物や食べ物に危険性があることを知れて面白いです。

一旦まとめ

・日本で問題になる貝毒は「麻痺性」と「下痢性」
・貝毒には、治療法も解毒法も無い
・自然の貝、特に「ムラサキイガイ」など採取しやすい貝は注意が必要。

その他、一部の貝毒

前述したプランクトン経由ではない一部の貝毒を紹介します。

言ってしまえば、初めから毒性を持っている貝ですね。

ツブ貝に含まれる毒

回転寿司で気軽に食べることが出来る「エゾボラ属の巻貝」

通称、ツブ貝。

実は、唾液腺に「テトラミン」という毒を持っています。

テトラミンは、熱に強い水溶性の神経毒です。

そのため、有毒部位を除去せずに調理すると毒が溶け出し料理が毒まみれになります。

致死性はありませんが、食べると眩暈や嘔吐の症状がでます。

自分で調理する場合は、きちんと唾液腺を除去する必要があります。

フグ毒を持つ貝

フグの毒「テトロドトキシン」は有名ですね。

日本国内では「バイ」「キンシバイ」「ボウシュウボラ」等の貝がフグ毒を持っています。

食べたら一発アウトです。

海水浴や潮干狩りで見つかることは稀ですが…

どれも食べごたえあるサイズなので「この貝は食べられそうだ」と勘違いしやすいです。

 

実体験ですが…

以前、磯で散策していた時、地元の漁師の方から「ボウシュウボラ」をいただきました。

もらえた理由はわかりませんが「きっと珍しいだろうから」と善意でくれたのでしょう。

「ホラ貝…ボウシュウボラだな」と分かったので、観察した後に逃がしましたが…

受け取ったのが私では無く、もしも「家族連れ」だった場合

 

食べられると勘違いして、有毒である内臓まで食べてしまったかも…

 

なので、誰からもらっても「よく知らない貝は食べちゃダメ!」と覚えておきましょう。

毒性がない生き物のほうが自然では珍しいです。

※ボウシュウボラはきちんと調理できるなら美味です。
※地域のお店で販売されている場合もあります。

まとめ

意外に身近で恐ろしい貝毒たちを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

大袈裟に書きましたが、怖がるくらいが丁度いいです。

スーパーで売られている貝類は大丈夫ですが、自然生物を自分で採って食べる場合は相応の知識が必要になります。

最低限、地域別の貝毒情報を知っておくこと。また、良く知らない貝は食べないこと。

この2つを大前提に行動しましょう。

また、有毒生物が販売されているお店が稀に存在します(朝市に多い)

その場合は、お店の人に「調理法」や「魚介類の名前」を聞いておきましょう。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

参考文献
日本経済新聞 貝毒に注意 大阪湾で例年より毒性強く、瀬戸内海でも確認
農林水産省 貝毒の特徴
厚生労働省 自然毒のリクスプロファイル