今更聞けない牛乳・加工乳・乳飲料の違いを解説。更に『特別牛乳』を知ってチョイ贅沢をしよう

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今更聞けない牛乳・加工乳・乳飲料の違いを解説。更に『特別牛乳』を知ってチョイ贅沢をしよう

普段私たちが飲んでいる『牛乳』

実は、牛乳と一口に言っても種類がたくさんあるのを知っていましたか?

種類によって成分・用途・値段が異なります。

今回は、意外と知られていない『牛乳・加工乳・乳飲料の違い』『何の違いで区分されているのか』を解説していきます。

牛乳好きな人なら知っておいて損はない知識ですので、参考にどうぞ。

実は牛乳は6種類に分けられる!―牛乳の定義

まずは、牛乳の定義から見ていきましょう。

普段、私たちが一般的に『牛乳』と呼んでいるものは『成分無調整牛乳』『成分調整牛乳』『低脂肪牛乳』『無脂肪牛乳』『加工乳』『乳飲料』に分けられます。

 

牛乳と言っても6種類もあるなんて驚きですね。

 

では、これらはどうやって分類されているのか?

というと日本の法律が関係してきます。

例えば、成分無調整牛乳(牛乳)の場合

「牛乳」とは、直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工の用に供する目的で販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)する牛の乳をいう。

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令 第二条三項

簡潔に言うと 成分無調整牛乳(牛乳)は『原料が牛の乳(生乳)100%のみを使ったもの※』です。水や添加物を混ぜることは一切禁止されています。

※正確には、原材料が生乳のみで乳脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分8.0%以上と決まっている

 

と言った具合に食品衛生法に基づく「乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)」で定められています。

それでは、残り5つについてそれぞれ見ていきましょう。

実は牛乳と表記できない3種類の成分調整牛乳

『成分無調整牛乳』は、水や添加物を加えることなく原材料が生乳のみのものです。

商品名に『牛乳』と入れられるのは、この成分無調整牛乳だけです。

例:森永のおいしい牛乳・雪印メグミルク牛乳など

 

一方、原材料が生乳100%であっても商品名に『牛乳』と表記できないものがあります。

味や脂肪分を調整するため、水分・脂肪分などの生乳に含まれる成分の一部を取り除いた牛乳。

いわゆる『成分調整牛乳』と呼ばれるものです。

例:まきばの空、明治おいしい低脂肪乳など

 

成分調整牛乳には次の3種類があります。
・成分調整牛乳
・低脂肪牛乳
・無脂肪牛乳

※「特別牛乳」もあるが、詳細は後で解説

これらの違いは『成分規格』によるものです。

牛乳に含まれる『乳脂肪分』と『無脂肪固形分(タンパク質やカルシウムなど)』の割合・数値・原料によって種類が分けられています。

成分無調整牛乳(牛乳)

絞ったそのままの牛の乳(生乳)のみを原料として加熱殺菌したもの。

水や添加物を加えたり、成分を減らしたりすることは一切ありません。

成分調整牛乳

生乳から一部の成分(乳脂肪分・水分・ミネラルなど)を除去して調整したもの。

文字通り、成分を調整した牛乳ですね。

のちに説明する『低脂肪牛乳』『無脂肪牛乳』も成分調整牛乳の一つです。

低脂肪牛乳

成分調整牛乳のうち、乳脂肪分を0.5%以上、1.5%以下の間に調整したものです。

無脂肪牛乳

成分調整牛乳のうち、乳脂肪分を0.5%未満まで調整したもの。

調整牛乳は、生乳のみを原料として、含まれる成分を調整したものってことですね。

商品名に牛乳と表記されていない他、成分表の「種類別名称」欄に『低脂肪牛乳』『成分調整牛乳』『無脂肪牛乳』と書かれています。

牛乳と加工乳と乳飲料の違い

『加工乳』は、生乳に乳製品(バター・クリーム・脱脂粉乳など)を加えて調整したものです。

前述の牛乳よりも安く作れるのが特長で、いわば加工乳は『第三の牛乳』と言ったところです。

 

一方、『乳飲料』は、乳製品以外(カルシウムやコーヒーや果汁と言ったフレーバー)を加えたものです。

コーヒー牛乳やイチゴ牛乳と言った嗜好飲料、カルシウム・鉄分を加えた栄養強化した牛乳風味の嗜好飲料と言った様々なバリエーションがあります。

まとめると、「加工乳は乳製品と水のみを加えたもの」「乳飲料は、乳製品以外の成分を加えたもの」と覚えておけばOK

スーパーの牛乳コーナーを見返してみると「特濃」や「低脂肪乳」とパッケージに書かれた製品が多く並んでいたり、昔ながらの「イチゴ牛乳」「コーヒー牛乳」は牛乳と表記されず「いちご」「コーヒー」と表記が変わっていたりと変化に気付けるでしょう。

 

ちなみに、「乳飲料でミルクプリンを作ったら固まりにくくて失敗した」なんてことが起こりえます。

乳飲料はお菓子作りやヨーグルト作りに向かない場合もあるのです。

そのため、どうしても牛乳がほしい時はパッケージに「牛乳」と記載されたものを選びましょう。

もしも家族の誰かに「牛乳買ってきて」とお使いを頼む時は「値段を気にしないで商品名に牛乳って書いてあるの買ってきて」と言い換えると喧嘩にならなくて済むはずです。

牛乳・調整牛乳・加工乳・乳製品の違いの一覧表

種類別名称
無調整牛乳(牛乳)生乳100%で成分無調整(水や添加物を加えることは禁じられている)
成分調整牛乳原料が生乳100%で成分を調整している
低脂肪牛乳成分調整牛乳のうち、乳脂肪分が0.5%以上1.5%以下のもの
無脂肪牛乳成分調整牛乳のうち、乳脂肪分が0.5%未満のもの
加工乳生乳+乳製品(バター・脱脂粉乳など)
乳飲料生乳+乳製品+それら以外(コーヒーや果汁、カルシウムなど)

『牛乳』『加工乳』『乳飲料』の違いを表でまとめてみました。

一覧にするとわかりやすいですね。

普段買っている牛乳がどれに分類されるのか再確認してみてもよいでしょう。

より質の高い牛乳を選びたい時のコツ

加工乳は安いけどあまりおいしくないな…

と考えている方に、スーパーで買えるより質の高い牛乳を選ぶ基準を紹介します。

選び方はとても簡単!

特選・厳選・プレミアムと書かれた牛乳を選ぶだけです。

 

実は『特選』『厳選』『優良』『プレミアム』という表記は、全国飲用牛乳公正取引協議会によって定められた最良表示基準を満たしている製品のみ使える表示です。

牛乳の最良表示基準
乳脂肪分 3.5%以上
無脂乳固形分  8.5%以上
細菌数     10万個/ml以下
体細胞数(牛の健康度) 30万個/ml以下

出典:飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則

これらを満たす生乳から作られた、牛乳・特別牛乳・成分調整牛乳のみに『特選』『厳選』と言った好印象を持つ表現が許されています。

乳等省令の牛乳の基準よりも厳しいので、美味しい牛乳だと言えるでしょう。

日本全国で4か所しか買えない特別牛乳

特選牛乳よりも更に美味しい牛乳が『特別牛乳』です。

乳等省令によって特別牛乳搾取処理業と許可された施設でのみ作られる無調整牛乳が『特別牛乳』と呼ばれています。

牧場の中でも特に優れた飼育環境や牛乳処理施設が条件になっており…

なんと日本全国で4か所(2020年4月30日現在)の牧場でしか購入出来ません。
※正確には5か所。宮内庁の管轄である栃木の御料牧場も含まれるが一般には卸していない

つまり、『皇室御用達級の牛乳』『牛乳の中の最高峰』と言った位置づけの牛乳です。

 

そんな『特別牛乳』一度は飲んでみたいですよね?

一般の人が行ける特別な牧場は次の4か所です。

・想いやりファーム   北海道
・雪印こどもの国牧場 神奈川県
・クローバー牧場 山梨県
・白木牧場 福岡県

普通の牛乳の数倍という価格ですが、ネット通販に対応している牧場が殆どですので「ちょっとした贅沢に最高峰の牛乳を」といった感覚で試してみてはいかがでしょうか?

まとめ

普段何気なく飲んでいる牛乳も多くの種類があることがわかりましたね。

これを機に、成分表を見比べていろいろな種類の牛乳を楽しんでみても良いかもしれません。

特に、特別牛乳は牛乳好きには垂涎の品だと思います。

ちょっとした贅沢として試してみてもいいのではないでしょうか?

 

参考文献
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則