マスクの代用品は効果なし?本当は注意すべき自作マスクと代用マスクのお話

新しい病原体の流行が発生するとマスクをパニック買いする人が増え、結果マスクが足りなくなる現象。
一部で「マスク・ショック」と呼ばれ、たびたび起こる現象です。
2003年に発生したSARS騒動。2005年の鳥インフルエンザ。2009年の新型インフルエンザ。2012年のMERS…
そして、2020年の新型コロナウイルス。
全ての騒動を挙げるとキリがありません。
つまり、数年間隔でマスクが品不足になるなら、数年後にまたマスクが足りなくなる可能性は高いってことです。
かといって、マスクを買い溜めしておくのは賢い選択とは言えません。
マスクの使用期限は、未開封で3年なので現実的でも無いです。
となると…残された手段は「自作する」or「代用品を探す」の二択です。
今回は「マスクの代用品の紹介」と「マスク代用品の効果はどうなのか?」を紹介していきます。
数年間隔で発生する現象なので、知っておいて損はないでしょう。
マスク代用品の効果は根拠がない
SNSや様々なサイトで代用品を用いた手作りマスクの作り方が紹介されています。
しかし、代用品マスクは感染予防に有効な手段と言えないです。
正確に言うと、情報が不十分で何より根拠がありません。
WHO(世界保健機関)が2009年の新型インフルエンザ流行時に出した「マスクの使い方アドバイス」に次のような記載があります。
Although some alternative barriers to standard medical masks are frequently used (e.g. cloth mask, scarf, paper masks, rags tied over the nose and mouth), there is insufficient information available on their effectiveness. If such alternative barriers are used, they should only be used once or, in the case of cloth masks, should be cleaned thoroughly between each use (i.e. wash with normal household detergent at normal temperature). They should be removed immediately after caring for the ill. Hands should be washed immediately after removal of the mask.
引用;WHO Advice on the use of masks1 in the community setting in Influenza A (H1N1) outbreaks
訳すと
マスクの代用品で布、スカーフ、紙、布切れを使用されるが効果について情報が不十分である。
これらを使用する場合は、1度の使い切り。また、布マスクの場合は使用毎に洗浄する。
代用マスクを使用した後は適切に外し、すぐに手を洗うこと。
平たく言うと、情報が不十分で効果がわからないが、代用マスクを使用する場合は使い捨てや洗浄で常に清潔にする。ってことです。
効果がわからないなら使わなくてもいいんじゃない?
咳やクシャミを抑えられます
マスク代用品で期待できる事
・目、鼻、口を触りにくくする
・クシャミや咳などの飛散物を抑え込む
マスクとして最低限の有効性はあるが、ウイルス予防には向かない。といったところでしょうか。
自身が風邪でマスクが無い状況なら、マスクの代用品を使用しても良いでしょう。
いわば、エチケットです。
2009年のマスク・ショックの時「片貝医院」が公開した「ペーパータオルでマスク作り」で「飛沫が周囲に飛ばないように抑制するがウイルス予防にはならない」と注意書きがされています。
代用品マスクは、危機的状態での最終手段ですね。
マスクの代用品の使用は推奨出来ない
前の項目で「最終手段としてなら使える」と書きました。
かといって、代用品の使用を推奨するわけではありません。
使うのか使わないのかどっちだよ!
と言われそうですが…
使い捨てや洗浄を怠り、雑菌の繁殖や汚染された代用マスクを使い続ける可能性があるからです。
市販品の不織布マスクなら使い捨て、常に清潔なマスクを使い続けられます。
しかし、手作りの布マスクだった場合はどうでしょうか?
洗浄をせずに使い回したり、洗浄や乾燥が不十分で汚染されたままだったり、清潔に使い続けるほうが難しいです。
更には「布マスクを作ったからもう安心!」と慢心してしまうかもしれません。
そして、代用マスクは飛沫を抑える役目があるだけでウイルス予防については不安が残ります。
何が言いたいの?
マスクは予防の一つってことです
マスクは感染予防の手段の一つに過ぎません。
マスクが無いなら、無理に中途半端な代用品を使う必要はありません。
人から人へ感染する病気に関して、マスク単体では効果は薄いと言ってもいいでしょう。
代用品に限らず、市販品でも同様です。
大切なことは「手洗い」「目や鼻や口を触らない」「正しいマスクの使い方をする」など
自分がほかに出来る感染予防の措置をしっかり行うこと!
これが一番必要なことです。
代用マスクの作り方を紹介しているサイト
さて、次は代用マスクの作り方を公開しているサイトを紹介します。
これを紹介するのは「代用にならない」「予防効果は薄い」と言ったばかりですが、マスクがないと不安になる人向けです。
大人も子供も使用できる代用マスクならば、用意しやすい布で作るのも一つの手です。
布マスクは、ウイルス対策には向きませんし、安心感のためだとしても推奨できる行為ではありません。
―4月3日追記。
世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス対策として公開した「COVID-19発生によるマスク使用に関するガイドライン」によると…
医療用マスクの着用は予防策の一つであり、新型コロナウイルス(COVID-19)を含む特定の呼吸器疾患の拡大を抑える。ただし、マスクのみでは予防策と言えないレベルである。手洗いなどその他出来る予防方法を合わせて採用すべきだと書かれています。
更に、マスクの使い方について次の記述があります。
Cloth (e.g. cotton or gauze) masks are not recommended
WHO: Advice on the use of masks in the community, during home care and in healthcare settings in the context of the novel coronavirus (COVID-19) outbreak
under any circumstances.
これは「布(コットンやガーゼ)のマスクの使用はどのような状態でもオススメしません」というものです。
布マスクの使用は特定のウイルス予防にならず、かえって感染のリスクを高めるという理由です。
そのため、この記事では布マスクの使用や作り方に関するものを避けます。
もしも使うなら、使用後は洗浄はきちんとしましょう。決して洗浄せずに使い続けてはいけません。
もちろん、布マスクのようにキッチンペーパーやティッシュで代用するマスクがありますが、代用品マスクの使用は推奨できません。
また、間違ったマスクの使い方は、感染のリスクを高める恐れがあります。
同時に「マスクの正しい使い方」を知っておきましょう。
まとめ
以上のことから、 ウイルス予防での布マスクと代用マスクを使うことはオススメしません。※布マスクは花粉症や防塵などの別の目的のために使う分には問題ないでしょう。
マスク単体では、ウイルス予防は万全と言えません。
知っておくべきは「正しいマスクの使い方」「手洗い」「汚れた手で目や口まわりを触らない」など、自分に出来る予防措置を行うことです。
オークションサイトで市場価格以上の値段でマスクを買ったり、コロナウイルスを殺菌する製品など疑わしい製品を買ったりするのはやめておきましょう。
参考文献
WHO:A型インフルエンザの集団発生におけるマスク使用に関するアドバイス
厚生労働省:新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方(※pdf)
片貝医院:マスクの限界と使い方(http://katacli.web.fc2.com/mask/maskinfo.html)
WHO:新型コロナウイルスに関するマスク使用のガイダンス
ディスカッション
コメント一覧
何が言いたいのかサッパリ分からずモヤモヤしたまま読み終わりました。布マスクや代用品ダメ、使い捨てマスクも手に入らない、高いマスクに手を出すな!で、じゃあ、どうしろというのですか?そこまでちゃんと書いてください。
ともさん、コメントありがとうございます。
「布マスク・代用マスクなどの使用はオススメしない」というのは信用できる根拠をまとめたものです。
そのため、マスク不足時にどうしてもマスクが必要な方のための情報ではありません。
これはあくまで個人的な考えなのですが…
これらがダメだと言われるのは「代用マスク(布マスク)を使ったとしても正しく消毒洗浄などの管理が出来ず、逆効果になってしまうため」だと考えられます。
効果的な手洗いのやり方を知らなかった人が多かったように、管理ができない人がいるから、○○をすれば安心だ!と言えないわけです。
例えば、私がやっているのは、過酸化水素水(オキシドール)での漬け洗い・中性洗剤での洗浄などです。
マスクの再利用は極力しないようにしていますが、人と会う時、相手を安心させるための最終手段として行っています。
しかし、薬品ですので扱い方を間違えると肌荒れや別の問題が起きるかもしれません。
では、発生した問題の責任は誰がとるのか?というと、マスクの製作元でも政府でもなく自分自身です。
自己責任でリスクがある方法をオススメできるわけもなく…
そのため「代用マスクを”一律”使ってはいけない」としていると考えられます。
この記事でも、マスクの再利用・代用品に頼らず「効果的な手洗いをきちんとしよう」と書いたのもそれが理由です。
一方、実際の医療現場では、使い捨てマスクを洗浄して使い続けているところがあります。
マスク不足時では、清潔な状態を維持出来ていれば最低限のマスク機能は維持できると考えてのことでしょう。
普段でしたら考えられませんが…
つまり、きちんとマスクの消毒・洗浄が出来れば使い捨てマスクを再利用してもいいのかもしれない。と解釈することが出来ますね。
花王の衛生科学情報サイトや経済産業省では「布マスクの洗い方と洗浄の方法」を公開しているものがあります。
花王 衛生科学情報:外で使用していたマスクのケア(https://form.kao.com/jp/pub/open/eiseikagaku-theme08)
経済産業省:布製マスクの洗い方動画を作成しました(https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319009/20200319009.html)
あくまで自己責任であり、リスクがあることを理解した上で参考にしてもいいかもしれません。
また、化学専攻の知人・友人に相談してみることが安心感へつながるかもしれません。