マスクの代用品は効果なし?本当は注意すべき自作マスクと代用マスクのお話

2月 4, 2020防災・予防・被害対策マスク, 感染予防, 雑学・教養

新しい病原体の流行が発生するとマスクをパニック買いする人が増え、結果マスクが足りなくなる現象。

一部で「マスク・ショック」と呼ばれ、たびたび起こる現象です。

2003年に発生したSARS騒動。2005年の鳥インフルエンザ。2009年の新型インフルエンザ。2012年のMERS…

そして、2020年の新型コロナウイルス。

全ての騒動を挙げるとキリがありません。

つまり、数年間隔でマスクが品不足になるなら、数年後にまたマスクが足りなくなる可能性は高いってことです。

 

かといって、マスクを買い溜めしておくのは賢い選択とは言えません

マスクの使用期限は、未開封で3年なので現実的でも無いです。

 

となると…残された手段は「自作する」or「代用品を探す」の二択です。

 

今回は「マスクの代用品の紹介」「マスク代用品の効果はどうなのか?」を紹介していきます。

数年間隔で発生する現象なので、知っておいて損はないでしょう。

マスク代用品の効果は根拠がない

SNSや様々なサイトで代用品を用いた手作りマスクの作り方が紹介されています。

しかし、代用品マスクは感染予防に有効な手段と言えないです。

正確に言うと、情報が不十分で何より根拠がありません。

 

WHO(世界保健機関)が2009年の新型インフルエンザ流行時に出した「マスクの使い方アドバイス」に次のような記載があります。

Although some alternative barriers to standard medical masks are frequently used (e.g. cloth mask, scarf, paper masks, rags tied over the nose and mouth), there is insufficient information available on their effectiveness. If such alternative barriers are used, they should only be used once or, in the case of cloth masks, should be cleaned thoroughly between each use (i.e. wash with normal household detergent at normal temperature). They should be removed immediately after caring for the ill. Hands should be washed immediately after removal of the mask.

引用;WHO Advice on the use of masks1 in the community setting in Influenza A (H1N1) outbreaks

 

訳すと

マスクの代用品で布、スカーフ、紙、布切れを使用されるが効果について情報が不十分である。
これらを使用する場合は、1度の使い切り。また、布マスクの場合は使用毎に洗浄する。
代用マスクを使用した後は適切に外し、すぐに手を洗うこと。

平たく言うと、情報が不十分で効果がわからないが、代用マスクを使用する場合は使い捨てや洗浄で常に清潔にする。ってことです。

 

効果がわからないなら使わなくてもいいんじゃない?

咳やクシャミを抑えられます

マスク代用品で期待できる事
・目、鼻、口を触りにくくする
・クシャミや咳などの飛散物を抑え込む

マスクとして最低限の有効性はあるが、ウイルス予防には向かない。といったところでしょうか。

自身が風邪でマスクが無い状況なら、マスクの代用品を使用しても良いでしょう。

いわば、エチケットです。

 

2009年のマスク・ショックの時「片貝医院」が公開した「ペーパータオルでマスク作り」で「飛沫が周囲に飛ばないように抑制するがウイルス予防にはならない」と注意書きがされています。

代用品マスクは、危機的状態での最終手段ですね。

マスクの代用品の使用は推奨出来ない

前の項目で「最終手段としてなら使える」と書きました。

かといって、代用品の使用を推奨するわけではありません。

 

使うのか使わないのかどっちだよ!

と言われそうですが…

使い捨てや洗浄を怠り、雑菌の繁殖や汚染された代用マスクを使い続ける可能性があるからです。

 

市販品の不織布マスクなら使い捨て、常に清潔なマスクを使い続けられます。

しかし、手作りの布マスクだった場合はどうでしょうか?

洗浄をせずに使い回したり、洗浄や乾燥が不十分で汚染されたままだったり、清潔に使い続けるほうが難しいです。

更には「布マスクを作ったからもう安心!」と慢心してしまうかもしれません。

そして、代用マスクは飛沫を抑える役目があるだけでウイルス予防については不安が残ります。

 

何が言いたいの?

マスクは予防の一つってことです

マスクは感染予防の手段の一つに過ぎません。

マスクが無いなら、無理に中途半端な代用品を使う必要はありません。

人から人へ感染する病気に関して、マスク単体では効果は薄いと言ってもいいでしょう。

代用品に限らず、市販品でも同様です。

 

大切なことは「手洗い」「目や鼻や口を触らない」「正しいマスクの使い方をする」など

自分がほかに出来る感染予防の措置をしっかり行うこと!

これが一番必要なことです。

代用マスクの作り方を紹介しているサイト

さて、次は代用マスクの作り方を公開しているサイトを紹介します。

これを紹介するのは「代用にならない」「予防効果は薄い」と言ったばかりですが、マスクがないと不安になる人向けです。

大人も子供も使用できる代用マスクならば、用意しやすい布で作るのも一つの手です。

布マスクは、ウイルス対策には向きませんし、安心感のためだとしても推奨できる行為ではありません。

 

―4月3日追記。

世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス対策として公開した「COVID-19発生によるマスク使用に関するガイドライン」によると…

医療用マスクの着用は予防策の一つであり、新型コロナウイルス(COVID-19)を含む特定の呼吸器疾患の拡大を抑える。ただし、マスクのみでは予防策と言えないレベルである。手洗いなどその他出来る予防方法を合わせて採用すべきだと書かれています。

更に、マスクの使い方について次の記述があります。

Cloth (e.g. cotton or gauze) masks are not recommended
under any circumstances.

WHO: Advice on the use of masks in the community, during home care and in healthcare settings in the context of the novel coronavirus (COVID-19) outbreak

これは「布(コットンやガーゼ)のマスクの使用はどのような状態でもオススメしません」というものです。

布マスクの使用は特定のウイルス予防にならず、かえって感染のリスクを高めるという理由です。

そのため、この記事では布マスクの使用や作り方に関するものを避けます。

 

もしも使うなら、使用後は洗浄はきちんとしましょう。決して洗浄せずに使い続けてはいけません。

もちろん、布マスクのようにキッチンペーパーやティッシュで代用するマスクがありますが、代用品マスクの使用は推奨できません。

 

また、間違ったマスクの使い方は、感染のリスクを高める恐れがあります。

同時に「マスクの正しい使い方」を知っておきましょう。

まとめ

以上のことから、 ウイルス予防での布マスクと代用マスクを使うことはオススメしません。※布マスクは花粉症や防塵などの別の目的のために使う分には問題ないでしょう。

マスク単体では、ウイルス予防は万全と言えません。

知っておくべきは「正しいマスクの使い方」「手洗い」「汚れた手で目や口まわりを触らない」など、自分に出来る予防措置を行うことです。

オークションサイトで市場価格以上の値段でマスクを買ったり、コロナウイルスを殺菌する製品など疑わしい製品を買ったりするのはやめておきましょう。

 

参考文献
WHO:A型インフルエンザの集団発生におけるマスク使用に関するアドバイス
厚生労働省:新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方(※pdf)
片貝医院:マスクの限界と使い方(http://katacli.web.fc2.com/mask/maskinfo.html)
WHO:新型コロナウイルスに関するマスク使用のガイダンス