「延々」「永遠」の違いって何?勘違いしやすい理由と使い方

言語の面白さ日本語, 永遠と延々, 雑学・教養

ネットが普及し、いつでもどこでも文章に触れる機会が増えました。

そして、誤字誤用も多く見かけるようになりました。

「一応」を「一様」
「ら抜き」「い抜き」言葉
そして、「延々と」と「永遠と」

誰でも一度は見たことがある誤字誤用ですね。

今回は、その中でも「延々」と「永遠」の違いと間違いやすい理由について解説します。

間違いやすい理由

ズバリ

聞いたままの語感を文字にしているから!

そして、知っている言葉と関連付けてしまうのでしょう。

「えんえん」「えいえん」声にすると、とても似ています。

聞いた言葉を文字に起こすとき

「延々」は知らずに、「永遠」を知っていたら、知っている言葉を連想して間違えてしまいます。

意味もなんとなく似ていますし、間違いと気付きにくいです。

正解はどっち?

間違いやすい理由は、わかりました。

では、誤用を判断する方法をみていきましょう。

次の例文で正しいのはどちらでしょうか?

例文
1:「話し合いが延々と続く」
2:「話し合いが永遠と続く」

パッと言われても、何が違うのかわからない人は多いと思います。

逆に、違和感があり落ち着かない人もいますよね。

正解は、1:「話し合いが延々と続く」です。

わかりましたか?

正解を判断する要素は、いくつかあります。

・意味の違い
・単純な違和感
・「名詞」「形容動詞」「活用の種類の違い」

最後の用語は、なんだそりゃ?と聞こえてきそうですね。

知らないなら、覚えておいても損はありません。

が、面倒なら“言葉の意味"で判断してしまいましょう。

意味で誤用を判別する

誰でも判断が出来るようになる方法があります。

それは…

“意味さえ知っておけばいい"です。

意味さえ合っていれば、伝わります。

違和感は無くなりませんが(笑

まずは、ザックリと「延々」「永遠」の意味を知っておきましょう。

延々

長く続くさま。

永遠

果てしなく続くこと。また、そのさま。

似ていますが、「有限か」「無限か」が主な違いです。

“基本的に"
「無限のモノ + 永遠」
「有限のモノ + 延々」
のパターンが多いです。

「無限に続く話し合い」、なんて有り得ませんよね?

「話し合いが延々と続く」ならば、「いつか終わる、非常に長い話し合い」だと伝わります。

ちなみに

「有限のモノ + 永遠」が全てダメというわけではありません。

表現の一つとして、使われる場合もあります。

例えば、
「刹那の永遠」

「刹那: 一瞬・とても短い時間。」
「永遠: 無限・果てないこと。また、そのさま」

正反対の言葉で矛盾を含んでいますが、なんとなくカッコよく聞こえませんか?

想像力のある人・表現力のある人ならば、

「経過時間と体感時間の差を表現する」

「一瞬だけど、永遠だと錯覚するような…」

と考え使うことができます。

違和感を消したいなら

ここから少しだけハードルが上がります。

「話し合いが延々と続く」

しっかりとした日本語ですね。

伝えたいこともわかるし、違和感もありません。

では・・・

もしも「無限に続く終わりがない話し合い」だった場合はどうなるでしょうか?

「話し合いが永遠と続く」

伝えたいことはわかるけど、違和感がありますね。

それは、形容動詞の活用の違いです。

形容動詞には、「ナリ活用」と「タリ活用」の2つの活用の種類があります。

小学生の頃、未然連用終始~呪文のように唱えた覚えはありませんか?
アレの一つです。

「延々」は「たり活用」
「永遠」は「なり活用」

活用の種類が違うと、日本語として違和感が出てしまいます。

つまり、「永遠」で「タリ活用」を使ってしまっていることが問題です。

「永遠たり」「永遠なり」どちらが自然か一目瞭然ですね。

なので…

「ナリ活用」を使って

「話し合いが永遠“に"続く」

なら、しっくりくると思います。

「永遠と」が使われる場合

ここまで、なぜ「永遠と」が誤用であるかを紹介しました。

が!

「永遠と」=全て間違い ではありません。

混乱しますよね(笑

例えば

「永遠と刹那は正反対の言葉だ」

「永遠と」が入っているのに、日本語として正しいですよね?

これは、「永遠」が形容動詞であり、名詞だからですね。

名詞に、格助詞(と)が付いて「永遠と刹那~」ということです。

「ケチャップとマヨネーズは調味料だ」と同じですね。

活用の「と」でなく、格助詞の「と」だから、違和感がないのです。
うーん…わかりにくい(笑

その為、可能ならば…

意味を理解するだけでなく“文脈"から判断することも大切です。

まとめ

ここまで「永遠」「延々」の違いと使い方を解説しました。

いかがだったでしょうか?

日本語って難しいですね~

最後に、私個人の意見を書いて終わります。

「永遠と」は間違いだ!とは言えないと思います。

他の誤用も同様です。

「言葉は変わるもの」であり、その度に自分も進化していけばいいだけです。

そして、何かを伝える本質さえ変わらなければ、それでいいです。

8割9割が間違いだったとしても、残りは「表現として」「解釈の仕方」なわけで…

全てを否定するのは、また違う話だと思います。

更に言うなら、人を攻撃するために知識を使うのはダメだよ!!です(笑

お読みいただきありがとうございました。