間違ったマスクのつけ方は感染リスクを高めるだけ!正しいマスクのつけ方と選び方

2月 3, 2020防災・予防・被害対策マスク, 感染予防, 雑学・教養

間違ったマスクのつけ方は感染リスクを高めるだけ!正しいマスクのつけ方と選び方

マスクは花粉症対策や感染症予防の必需品です。

風邪やインフルエンザ、最近では新型コロナウイルスから身を守るためマスクを常用している方も多いのではないでしょうか。

 

感染症の予防意識が高いことはとても大切です。

しかし――

つけ方を間違えるとかえって、感染リスクを高める可能性があるって知っていましたか?

 

今回は「マスクの正しい装着の仕方」「どのタイプのマスクを選べばよいのか?」を紹介します。

予防意識を更に高めるためにより良い情報を知っておきましょう!

マスクの必要性と効果

マスクの正しい装着方を知る前に、マスクの役割と効果を知っておきましょう。

主な役割は「クシャミや咳を抑える」「周囲のウイルスや花粉(粉塵)の吸引リスクを下げる」です。

 

唾や咳などの飛沫を抑える効果は、動画を見たほうが早いですね。

引用:ライオン公式チャンネル  動画でわかる くしゃみで飛び散る唾液のしぶき

マスクなしだと数メートルほど、マスクを着用すると飛び散らず周囲を汚染しません。

マスクは、飛沫感染を防ぐエチケットです。

 

もう一つが「ウイルスの吸引リスクを下げる役割」です。

多くの人が目的としていますね。

マスクは最も効果的な手段ではないが、何もしないより効果がある。と言われています。

一般的なマスクでは、フィルターの目が粗いため微小なウイルスを完全に排除することは出来ません。

医療用のN95マスクは、専門家がキチンと調整した場合に限り市販品より効果が期待できると言われています。

 

それならマスクは必要ないの?

市販品があるなら使いましょう

ごく稀にマスクはウイルス予防にならないから意味がない!と言っている人がいます。

しかし、それは間違いです。

 

下は、WHO(世界保健機関)による「2009年のA型インフルエンザ流行時の市中におけるマスクの使用アドバイス」の一部です。

Using a mask incorrectly however, may actually increase the risk of transmission, rather than reduce it. If masks are to be used, this measure should be combined with other general measures to help prevent the human-to-human transmission of influenza, training on the correct use of masks and consideration of cultural and personal values.

引用:WHO Advice on the use of masks in the community setting in Influenza A(H1N1) outbreaks

簡単に訳すと
・マスクの不適切な使用は、感染リスクを高める可能性がある。
・ マスクは、人から人への感染を防ぐ他の措置と合わせて使用すべきである

特に知っておくべきことは「マスクの不適切な使用は、感染リスクを高める」です。

 

4月3日追記―

もう一つ、WHO(世界保健機関)による「新型コロナウイルス発生時におけるマスク使用に関するガイダンス」によると次のような記述があります。

Wearing a medical mask is one of the prevention measures
that can limit the spread of certain respiratory diseases,
including COVID-19. However, the use of a mask alone is
insufficient to provide an adequate level of protection, and
other measures should also be adopted. If masks are used,
they must be combined with hand hygiene and other
IPC measures to prevent human-to-human transmission of
COVID-19. WHO has developed guidance for home care1
and health care settings2
on IPC strategies for use when
COVID-19 is suspected.
Wearing medical masks when not indicated may result in
unnecessary costs and procurement burdens and create a false
sense of security that can lead to the neglect of other essential
measures, such as hand hygiene practices. Further, using a
mask incorrectly may hamper its effectiveness in reducing the
risk of transmission.

WHO: Advice on the use of masks in the community, during home care and in healthcare settings in the context of the novel coronavirus (COVID-19) outbreak

ちょっと長いですが、要点だけ掻い摘んで訳すと

「医療用マスクは予防策の一つあり、新型コロナウイルスを含む特定の呼吸器疾患の拡大を抑えることが出来ます。ただし、マスクのみでは完全な予防と言えません。そのため、マスクの着用で安心しないでください。正しいマスクのつけ方と手洗いなどの他の措置を合わせて行いましょう」ということです。

 

まとめると
・マスクは感染予防対策の一つ
・何もしないより効果がある
・高性能マスクでも使い方を間違えると意味がない
・使い方を間違えると感染リスクが高まる

つまり「マスクは使うべきであり、つけ方を間違えると意味がない」ってことです。

 

また、ほかの措置と合わせて使用すべきであるとあるように

マスクだけで満足せず「手の洗浄」を忘れないようにしましょう。

理想のマスクの選び方

マスクの素材は不織布orガーゼ?

さて、マスクの必要性が分かったところで家庭用マスクの選び方を見ていきましょう。

市販されているマスクの素材は、大きく分けてガーゼと不織布の2種類です。

不織布とは?

文字通り、織っていない布。
複雑に繊維が絡み合っていて、粒子捕集性と通気性に優れた素材です。
値段も安く、使い切り前提なので清潔に使い続けられます。

ガーゼとは?

天然素材である綿織物を使用した布。
肌にやさしく、敏感肌の方も安心して使える。
保湿や保温性が高く乾燥から喉を保護することに向いています。

不織布は、元々医療用で使用される素材なので効果は保証されています。

 

2つの素材を比較

・ウイルス対策に向いた素材は不織布
・花粉対策や乾燥を防ぐためならガーゼ

目的に合わせた素材を選び、顔にフィットするマスクを選びましょう。

頬や鼻の間に隙間を作らないことが大切なのでプリーツタイプのマスクが良いでしょう。

高いマスクと安いマスクどっちがいい?

N95マスクのような高性能マスクを使えば大丈夫だろう

と思っていませんか?

 

その考えはやめておきましょう!

 

医療現場で使われる高性能品は「値段が高く、使い捨てを前提として、必要な時に装着するマスク」です。

そして、「知識を持った人が調整し装着して初めて効果が得られるもの」です。

つまり、日常生活で使う前提で作られていません!

2020年4月14日、中国でN95マスクを着用したまま1500メートル走に参加した男子中学生が死亡する事故がおこりました。

普段使うサージカルマスクに比べて密閉性が強いN95マスクによる窒息が原因とされているようです。実際、医療現場でも空気感染する病気(例えば結核とか)に使用するマスクですので、普段使いすると思わぬ事故が発生してしまいます。

 

前述で説明した通り、不適切なマスクの使用は感染リスクを高めます。

そのため、安いマスクを正しく使い、使い捨てるほうが清潔で健康保持に向きます。

フリマアプリやオークションで、わざわざ「N95マスク」を買う必要はありません。

正しいマスクのつけ方と外し方

プリーツタイプのマスクのつけ方と外し方を確認しましょう。

マスクの正しいのつけ方

1、表裏・上下を確認
製品によってわかりにくいですが、3つのポイントを押さえておけば大丈夫です。
・プリーツのヒダ部分は下向きに
・針金が鼻に当たるように
・ゴムひもの接着面が"外側"になるように装着する

 

2、フィットするようにプリーツを伸ばし折る
ヒダ部分を上下に広げ、針金を鼻の形に合わせて曲げ、立体的にフィットするように半分に折ります。

 

3、顎を覆うまでマスクを伸ばして装着する
顔にフィットさせ、頬や鼻に隙間が無いようにチェックします。
掌で軽く押さえて、ゴムひもで固定しましょう。

 

4、軽く呼吸をして隙間が無いか再度チェック
つけ終わったら、隙間や空気漏れがないか確認します。

 

以上でつけ方は終わりです。

マスク使用中は、フィルター部分を触らないようにしましょう。

 

メガネが曇る…

つけ方を間違えています

メガネが曇る原因は、鼻とマスクの間に隙間から抜ける呼気です。

しっかり着けていれば息は漏れず、メガネは曇りにくくなります。

マスクの正しい外し方

1、ゴムひもを耳から外す
飛沫やウイルスが付いたフィルター部分を触らないように丁寧に外しましょう。

 

2、使用したマスクを廃棄する
一度使用した使い捨てマスクを使い回すのは絶対やめましょう。
ビニール袋に入れ廃棄するのが理想です。無ければ蓋つきのゴミ箱に捨てましょう。

 

3、外したらスグに手を洗う
マスクを外した手で口や目を触らないようにすぐに手を洗いましょう。
手を洗うことがとても大切です。

マスクは1日1回で無く、適宜使い捨てる

多くの使い捨てマスクの使用法に「1日1回取り替えること」と書いてあります。

勘違いしやすいですが、1日を1枚のマスクで済ませるという意味ではありません!

一度の使用で取り替えるという意味です。

 

例えば、飲食店でマスクを外して会計時に同じマスクを着け直すとフィルター部分の汚染が表と裏両方につく可能性があります。

そのまま帰宅すると、汚染されたフィルターを鼻と口に当てて過ごすことになります。

 

一度使用したマスクは廃棄して、新しいものを装着しましょう。

外出時は、気持ち多めにマスクを用意しておくと良いでしょう。

 

マスクのつけ方ポイント

・隙間を作らない
・裏表上下に気を付ける
・顎を出さない
・フィルター部分を触らない
・適宜、使い捨てる
・長時間使い続けると逆効果

無意味な使い方と注意が必要な製品類

さて、次は間違えた使い方注意が必要な製品を見ていきましょう。

前述のとおり、間違った使い方をすると感染リスクを高める可能性があります。

それどころか――

周囲の人が間違った使い方をしていると自分への感染リスクまで高くなります。

 

自分へ…ってどういうこと?

家族や職場の人が周囲の人が正しい使い方が出来ていない。

言い換えれば

感染した人(または感染しやすい人)が自分の周りに多くいる。ということです。

 

感染者が自分の周りに多いなら、自分が感染する確率も高くなりますよね?

人から人へ感染する病気だからこそ、集団の予防意識を高める必要があります!

マスクの間違えた使い方を知り、他人へ情報を共有することは大切です。

もし身近な人が間違った使い方をしていたら注意を促しましょう。

鼻だしマスク

口だけマスクで抑えて鼻だけ出している人。街中で稀に見かけますね。

この行為は、花粉症対策・ウイルス対策になりません!

むしろ、マスクをしているから大丈夫と思い込むため、お構いなしにクシャミや咳を撒き散らかします。

風邪をひいている人だった場合、周囲の人に汚染が広がります。

もし身近な人が鼻だし着用していた場合は、自分や周囲の為にしっかり注意しましょう。

マスクを顎にかける

息苦しさから、着用していたマスクを顎にかける人がいますね。

これもNG行為の一つです。

顎部分にはクシャミや咳など飛散物が付着している場合が多いです。

顎にかけると飛散物がフィルターの内側に付着する恐れがあり、衛生的ではありません。

一度外してしまう行為と同義になるので、顎にかけるならば捨てて着け直しましょう。

鼻マスク

鼻に入れるタイプのマスクや鼻だけ多くタイプのマスクがあります。

花粉症対策グッズとして販売されていますが、ウイルス予防の効果はありません。

鼻だけ覆っても、口の粘膜から感染するので鼻マスクしているから安心!と思わないようにしましょう。

ジェルや殺菌スプレー

ウイルスを99%除菌するマスクに塗布して使う殺菌スプレーと謳って販売されている製品が稀にあります。

本当ならとても素晴らしい製品だと思えます。が…根拠になりえる論文や情報がありません。

自社実験の際の実験データを記載している製品もありますが、内容が疎かで説得力がある製品はあまりありません。

予防意識が高いことは大切です。しかし、疑わしい製品に手を出さないことも大切です。

ネックウォーマーやマフラーはマスク代用品になる?

ネックウォーマーやマフラーがマスクの代用になると考えている人は少なからず存在します。

しかし、マスクの代用品としたマフラー等の使用は不衛生かつ効果は期待できません。

マスクは使い捨てと洗浄により清潔さを維持しています。長時間使うマフラー等はマスクの代用になりません。

それどころか、顔周辺に雑菌を繁殖させる可能性があります。

まとめ

インフルエンザや流行病など感染症が話題になるとマスクの需要が跳ね上がります。

インターネットが普及した現代では、正しい知識と同時に間違った知識も多く広まってしまいます。

ソース(根拠)が無い話を信じてしまうとアナタの予防意識が高くても意味がありません。

なので、正しい知識を判断するすべを学び、正しい予防法を知ることが何より大切です。

マスクがあるならマスクを正しく使用する!

帰宅時はしっかり手を洗う!

目や口や鼻を汚れた手で触らない!

感染を防ぐための予防策は出来る限りやっておきましょう。

 

参考文献
WHO:A型インフルエンザの集団発生におけるマスク使用に関するアドバイス
厚生労働省:新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方(※pdf)
厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A
新型コロナウイルスで「やってはいけない」5つのNG行動