なぜ不謹慎と騒ぐのか?意外と怖い不謹慎厨の5つの心理と対処法6つを解説

地震・台風などの大災害や死者が多数にわたる大事件の後、度々発生する自粛ムード。
伴って何かにつけて「不謹慎だ!」と騒ぎ立てる人をよく見かけますよね。
実際に「不謹慎だ!自粛しろ!」など強い口調で怒られた経験がある人もいるでしょう。
その人たちは「不謹慎厨」「不謹慎狩り」と呼ばれています。
今回は「不謹慎厨は何者か?」「なぜ不謹慎だと騒ぎ立てる人がいるのか?」「それらの対処方法」を紹介します。
不謹慎厨とは一体何なのか?
「○○厨」とは、日本のネットスラング(ネット上での言葉)です。
「まるで中学生のような言動のようだ」という軽蔑的なニュアンスを含め「中坊」と呼び、いつからか「厨房」の誤変換を略し広まったものです。
○○の中には、様々な言葉が入り、そのバージョンの一つとして「不謹慎厨」が存在します。
つまり「不謹慎厨」とは、不謹慎な言動をしていない人や関係ない人にまでクレームをつける大人げない人という言葉です。
メディアでは「不謹慎狩り」と呼ばれていますが、同じ意味です。
また、海外の似た言葉として「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー(SJW)」があります。
元々は社会正義の実現を目標にしている人々への肯定的な言葉でしたが、現在では否定的なニュアンスが強い表現になっていて…
有事の有無に限らず、フェミニズム・人権・文化の多様性などを社会進歩的な考え方を過激に広めようとする人を指す言葉です。
不謹慎厨と同様に「他人へ特有の道徳観や倫理観を持って被害者への配慮を押し付ける人」の蔑称ですね。
なぜ他人へ自粛を強要するのか?
不謹慎厨と一言でまとめても、クレームをつける理由は人それぞれ違います。
ここでは5つのタイプを紹介します。
共感疲労
他者への共感が強すぎるタイプ
精神医学における一つの概念「共感疲労」によって、不謹慎だと騒ぐ人が発生すると分析されています。
共感疲労とは、トラウマを負った人たちに共感的にかかわり続けることで二次的に心身共に疲弊してしまう状態を指す言葉です。
症状:ネガティブな思考に捕らわれる。情緒不安定。身体的な不調など
介護士や医療従事者など他者の苦しみを目の当たりにする職業の人に起こりやすいと言われています。
つまり、当事者でもないのに他者に同情するあまり自分が疲れ切ってしまうってことですね。
共感疲労に陥ることで、情緒不安定になり些細なことでもイライラして周りに当たってしまう。
これが不謹慎厨の正体の一つだと言われています。
何もできない自分への罪悪感
自己嫌悪や罪悪感が他者へ向くタイプ
不謹慎だと周囲に怒り、自粛をするように強要するのは「自分への罪悪感」によるものかもしれません。
罪悪感、と言っても漠然としてわかりにくいですね。
例えば、大災害が起こった場合
「被災者(地)の状況」「被災者のケアを行う人(自衛隊など)」「専門的な被害の甚大さ」がメディアを通して無関係な人々に届くでしょう。
関係のない人々は「自分ではどうしようもできない出来事」を知ることになり「自分も何かしなくてはいけない」という強い欲求不満と罪悪感が生まれます。
この罪悪感が、自分でも出来る募金や支援金などを生まれさせるわけです。
以上はR.K.マートン『大衆説得』の「献身の三角形」理論をザックリと説明したものです。
不謹慎厨と呼ばれる人たちは、この罪悪感を「自分よりも何もしていない人への攻撃」として表現してしまったのかもしれませんね。
正義の味方になったつもり
正義のヒーロータイプ
自分自身が「被害者の代弁者」だと思い込んで発言する人たちですね。
この人たちは、自身の正義感に基づいて行動しています。しかし、当事者ではない第三者ですので…
「自分自身が気に入らないモノを批判しているだけ」と言い換えることができます。
社会的に広まっている価値観・信念・信条の思考/感情/行動パターンよりも個人的な尺度(主観)を優先する。
つまり、自分の信念こそ正しく、違う人は悪であり、それが何より優先の人ってことです。
また、群集心理として「同じような考え方の人は多く、自分の味方が多い」と考えて強い自己肯定感を持つ可能性があります。
本人は「被害者のために」と活動している正義のヒーロー気分なので一番厄介かもしれません。
自己アピールに利用している
目立ちたいだけのタイプ
「自分は正しいことが出来る人間だ」というアピールの為に不謹慎行為を批判する人が存在します。
ひとつ前の「正義の味方」と少し似ていますね。
これは自己顕示欲であったり、社会正義を発揮する人への憧れ(模倣)だったり、誰にでも持っている心理の一つです。
逆に本当に不謹慎行為(わざと炎上発言など)をする人の理由の一つでもあります。
自分が目立つための手段として利用している人たちってことです。
不謹慎を利用して他者を非難する為
自分が気に入らないモノを攻撃したいタイプ
分かりやすいのは、有名人への嫉妬・嫌悪・憎悪を含んだ批判ですね。
不謹慎だ!と現在の言動に対して批判するのではなく、人格否定や過去した行為など「自分が嫌いな人への中傷」を不謹慎に隠しながら他者を攻撃する人々です。
上の4つのタイプに紛れているので見極めることは難しく、厄介なことに社会正義の味方の行動を増長させてしまう可能性がある存在です。
世の中に不謹慎厨はどのくらいいるのか?
インターネット上では、多くの人が騒ぎ立て如何にも大多数の人間が不謹慎行為を批判しているように見えます。
しかし、本当に騒いでいる人は多いのでしょうか?
文化庁の「国語に関する世論調査」によると
「ネット炎上を目撃した際に書き込みや拡散をするか」という問いに
「大体すると思う」が0.5%。「たまにすると思う」が2.2%の計2.8%。
※20代では10.7%と多い。
一方、「しないと思う派」は計63.2%と過半数を超えています。
もう一つの問い「炎上と言う現象が好ましいと思うか?」に対して
好ましい派は5%。
※20代は他の年代よりも割合が高くなっている
好ましくない派は77.5%
7割以上の人が好ましいと思っていません。
年齢が上がるほどインターネットを利用しない人口が増えるので若年層の割合が相対的に高くなっているように見えますね。
どちらにせよ、割合を見ると不謹慎厨の行為は少数派のようです。
また、株式会社ドワンゴ創業者の川上量生氏の著書「ネットが生んだ文化誰もが表現者の時代」によると
炎上は基本的にヒマなネット原住民がごく少数いれば起こせる。
ネットが生んだ文化誰もが表現者の時代 より引用
2ちゃんねるの管理人を長く務めていた西村博之氏によると『2ちゃんねる上でのほとんどの炎上事件の実行犯は5人以内であり、たったひとりしかいない場合も珍しくない』
これらから、不謹慎厨=ノイジー・マイノリティ(声が大きい少数派)と言えますね。
言い方は悪いですが、ごく少数の悪質クレーマーってことです。
そもそも不謹慎厨は無敵の存在
さて、それでは不謹慎厨への対処法を見ていきましょう!
と言いたいところですが…
まず「不謹慎厨は無敵の存在」だと知っておきましょう。
不謹慎厨の心理は大きく分けて次の2つだと思ってください。
「自分の考えこそ正義であり、それを邪魔するものはすべて悪である」
「正しいことをしている自分には多くの味方が付いている」
理に適わない思考 + 自信満々。
説得させることは困難です。
自分が気に入らない存在は許さない…完全に無敵の存在ですね。
そのため、選択できる方法は「不謹慎厨から隠れて身をひそめること」しかありません。
これを踏まえたうえで対策法を紹介していきます。
不謹慎厨・自粛厨への対策方法
「SNS等の更新・投稿を止める」こと!
「触らぬ神に祟りなし」の言葉通り、餌になる投稿や更新をストップしてしまえば不謹慎狩りに合いにくいでしょう。
あくまで被害に合いにくいだけです。
大事件が起こっているのに黙っているのは何事だ!とクレームを付けられる可能性が少なからずあります。
といっても、標的にされるのは世間に与える影響力が大きい存在(企業・有名人など)でしょうね。
身近な不謹慎厨から身を守る方法
一般人が不謹慎厨の標的にされたらとりあえず不謹慎厨の話に合わせると回避できるかもしれません。
「自分は味方なので攻撃しないでください」というアピールですね。
自分の考えを一時的に捨てる行為なので不満に感じますが、身を守るために必要なことだと割り切りましょう。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、“正義のヒーロー"は想像以上に恐ろしい存在です。
例えば、
「○○さんはこんな時に遊んで常識知らずだ!」
「常識から考えてその発言はドン引きする…」
こんなクレームやレッテル張り程度なら良いほうです。
過激な人は「あの人は常識が無いから仲間外れにしよう」とイジメに発展したり、危険な考えを持っていると思い込みから排除する根回ししたり、最悪の場合、暴力に発展する可能性があります。
対策法は、周りと合わせて下手なことを言わないことです。
有事の基準の決め方
災害や流行病など、不謹慎厨が騒ぎ出す基準ラインを知っておくことは大切です。
しかし、明確な基準はありません。
そこで「どれだけ多くの人が知っているか」を目安にしておきましょう。
SNSで話題になるレベル
これから大きくなるかもしれない事象です。
運が良ければ大事になりません。そこまで注意する必要はないでしょう。
大きな災害・警報が出るレベル
台風・震度5弱以上の地震・警報が出た時。
急に発生することがあって判断力が試されます。
不安に思うならば、落ち着くまで発言をしない。または様子を見ておきましょう。
テレビで取り上げられるレベル
全ての年齢層が見ているテレビで取り上げられる事象は危険信号です。
「誰でも知っている話題=クレームをつける人が普段より発生している」と考えてSNSでの発言等に気を付けましょう。
見えない地雷を踏んでしまったとき
知らずに不謹慎厨が反応する言葉をしゃべってしまったときは、素直に謝りましょう。
もちろん、形だけで構いません。
誠実に謝っていますアピールさえ出来ていれば十分です。
多少は非難されるでしょうが、謝った個人に対して責め立てる人は"少ない"でしょう。
常日頃から時事問題をチェックしておくと安心です。
知らなかったからしょうがないでしょ!と逆切れすると逆効果なので注意しましょう。
事故・災害の日付をチェック
記録的な災害・人災・事件があった場合は、その年月日を覚えておきましょう。
例えば、東日本大震災が起こった3月11日。広島へ原爆が落とされた8月6日など
大事件があった日付と年数を忘れたまま「今日は平和な日だった」と投稿したら「多くの人が死んだ日なのになんて人だ!」と言われるかもしれません。
過去のことなので調べれば簡単です。
普段からふざけすぎない
普段から冗談やブラックユーモアが効いた発言をしている人は要注意です。
災害などが起こった後に知らずに「面白さを追求した投稿」をすると軽率な投稿だと勘違いされます。
それどころか、過去の投稿まで遡って不謹慎だ!と責め立てられる恐れがあります。
共感を得ている内容を知っておく
身を守るために、共感を得られている物事を知っておきましょう。
Twitter等のSNSで拡散されている投稿やイイネがされている内容を把握しておくと「どのような発言行動が共感を得やすいのか」知ることができます。
不謹慎厨は他人への共感で動いている要素があるので、共感を得やすい事柄を知っているだけでも標的にされにくいです。
個人を特定されないように
最後に一番大切なネットリテラシーの話です。
何気ない発言・行動での炎上は、ネット上だけでなく現実の仕事や生活にも影響し得ることです。
例えば、下のような流れになったらアナタはどうしますか?
何気ない発言をする
↓
不謹慎厨に目を付けられる
↓
情報拡散される
↓
今までの投稿・情報から個人を特定される
↓
職場や学校にクレームが行く、または自宅にやってくる
↓
職を失ったり、退学になったり、怪我をさせられたり…
何気ない行為に対して、私刑による罰がキツすぎて大変ですね。
「私は炎上なんてしないから~」と考えている人が多いと思いますが、確率が低いだけで誰でもあり得ることです。
そのため、普段から個人を特定されないこと。または、投稿する前によく考えてから行うことが大切です。
まとめ
有事の際に不謹慎と言う人について解説しましたがいかがだったでしょうか?
「不謹慎厨」「不謹慎狩り」「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー」
これらの人たちは、ごく少数ですが、どの時代にも存在し、どの地域にも存在します。
被害にあう前に、以上のことをしっかり覚えてネット上での身の振り方を考えていきましょう。
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