なぜ買い占め行動に走る?誰でもわかる対策方法の再確認と個人で出来ることを解説

大きな災害・流行病・経済の不安定化が起きると伴って発生する買い占め行為と必需品の品薄状態。
最近話題の新型コロナウイルス、記憶に新しい大型台風による被災で誰しも経験していると思います。
さて、アナタは買い占め行為と品薄状態にどんな対策がされているのか知っていますか?
買い占め行動に走る理由を知っていても、もっと身近な事を知っていないと意味がありません!
今回は「なぜ買い占めが起こるのか」「買い占め行為に対する対策法」「個人で出来る対策」を解説します。
なぜ買い占めが起きるのか?
なぜ買い占めが起きるのか?
この問いはSNSやメディアで度々扱われているので、なんとなく答えを知っている人はいるでしょう。
買い占め行動の解説として使われる「心理学の多元的無知」と「ゲーム理論」についてザックリと解説します。
心理学:多元的無知
多元的無知とは?
定義:集団の多くの成員が、自らは集団規範を受け入れていないにもかかわらず、他の成員のほとんどがその規範を受け入れていると信じている状況
要は、自分は○○について信じていないが、他人は○○を信じていると思い込んで行動してしまうってことです。
現在のトイレットペーパーやマスク買い占めでも「私はデマだと理解しているが、周りの人がデマを信じて買い占めてしまうと困るから私も買ってしまう」って感じですね。
ゲーム理論:協力ゲーム
ゲーム理論とは?
複数の意思決定者が存在する状況における意思決定を数学・統計学的に行うための理論のことです。
経済学の基礎となっている他、社会科学・生物学・経営学など多くの分野で応用されています。
例えば、誰かが損して誰かが得する(共に損する場合などある)状態において、各個人はどのように行動するか?どう動くべきか?を分析する理論
…簡単に説明するのは難しいですね。
大雑把に
「他者が買い占める時は、自分が必要な時に変えなくて損する。だから、手間をかけてまで買い占める選択をしてしまう」
みたいな分析結果を数式など使って導けるモノだと思ってください。
気になる人は日経新聞の「ゲーム理論「協調ゲーム」で考える消費者行動の合理性」を見たほうが早いです。
結局何が言いたいのかというと…
「多元的無知」「ゲーム理論」
どちらの言葉もこの現象を分析・説明する専門知識(用語)です。
日常生活で、この用語だけ知っていても意味は無いです。
「私、頭が良いよ」アピールに使える程度でしょうか…
政府が行っている買い占め防止策を見ていきましょう!
買い占め行為を防ぐ対策はどんなものがある?
政府の動きは?
・販売店などの業界団体への対策法の要請
・フリマアプリやオークションなどへ転売品制限の要請
・一部の法律の適用と改正
どれも特定のモノが品薄になることを防ぐための対応ですね。
日本の中心で各業界や事業者に指示を出す司令塔みたいな感じです。
最近、問題になっているマスク品薄に関した動きは次の通りです。
・メルカリやヤフオクユーザーのマスク高額出品を規制するように
・ドラックストア等への転売対策を求める
・国民生活安定緊急措置法
・マスクの転売行為が違法になるように法令改正
業界への要請だけでは、あまりに悪質な買い占め/転売行為は抑えきれず。かつマスク不足が長期にわたると判断したため、法令改正していますね。
法律で規制してしまえば、転売行為はある程度抑えられるでしょう。
買い占めに関した法律
前述のとおり、国民生活安定緊急措置法の改正によりマスクの高額転売が違法になりました。
その法律ってどんなもの?
当然の疑問ですね。
では、それっぽい名前の「買い占め防止法」と実際に適用された「国民生活安定緊急措置法」の解説をしていきます。
買い占め防止法とは?
正確には「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」
略して、買い占め防止法。または買占め及び売惜しみ防止法。
生活必需品等の価格が異常に高騰する恐れがある場合に「買占め」や「売惜しみ」をする事業者が確認されたら、政府が介入して売り渡しするように命令できる法律です。
非常時の買い占め・売惜しみはダメですよ~って話ですね。
ただし、この法律が適用されるのは「異常な価格高騰の恐れがある場合のみ」かつ「指定された特定品目のみ」です。
現在、特定品目の指定は無くなっているので現代では適用できない法律です。
国民生活安定緊急措置法とは?
細かいことは省いて説明すると
物価が高騰する恐れがある場合、政府が介入し特定の品目を指定し価格と供給量を調整のできるようにする法律です。
実は、つい最近この法律が適用された事例があります。
政府が新型コロナウイルス感染防止のため、必要な自治体へ売るようマスクの製造販売会社に指示しました。
もう一つは適用…というより改正ですが
前述の「衛生マスクの高額転売が違法になった」という話です。
※2020年3月11日公布。3月15日より施行。
禁止されるのは「購入価格を超える価格で譲渡する行為」に限定されています。
そのため、小売業者が卸売業者から買って売るのはセーフ。でも、悪質な転売屋はアウトになります。
もう少し例を挙げると
「特定かつ少数の知人に譲る」は対象外なのでセーフ。
「持っているマスクを購入価格以下で販売する」はセーフ。
「1円スタートオークションで購入価格を超えて譲渡する」はアウト
買い占めを抑えられると同時に転売屋の在庫が流れてくるのでマスクが気軽に買えるようになるのは時間の問題でしょう。
また、前例が出来たことで、次のパンデミックが起きても円滑に進むことが期待できます。
リンク:経済産業省 国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令
個人の買い占めはどうするの?
上二つの法律は、転売等でお金を稼ぐ人に対するものでした。
経済への影響が大きくなるのを防ぐためですね。
では、個人が自分のために大量にまとめ買いするのはどうなのか?
というと…
この問題を解消する法律はありません。
じゃあ個人に対した対応は無いの?
集団で解決しようとしないと無理です
個人で買い占める必要が無いと理解していても、ほかの人が買い占めてしまうなら意味がありません。
つまり、デマに騙される人・買い占める個人に対して…
モラルや道徳心に訴えて集団意識を変えるしかありません。
「必要な人が買えるように落ち着いて行動しよう!」と意識を共有する感じですね。
一人一人がその行為を正しいか考えて意識して行動することが何より重要です。
まとめ
要点
・理由より、どのような対策が打たれているか知ることが大切
・国民生活安定緊急措置法の一部改正により、特定の高額転売が違法になった
・個人は「買い占めをしない」「他人へ注意を促す」が大切
現状、一般人に出来る対策は限られています。
・「買い買い占めしない」
・「買い占める知人にそれとなく注意を促す」
逆に言えば、この2つだけやっておけば良いだけなので簡単ですね。
参考文献
経済産業省 国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令
厚生労働省:マスクの売渡し指示及び北海道への優先配布について
日経新聞:ゲーム理論「協調ゲーム」で考える消費者行動の合理性
マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書
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