冬にしか見られない海の花があるって本当?冬の風物詩「波の花」のアレコレ

冬シーズンしか見ることが出来ない「海の花」の存在を知っていますか?
海の花というと色鮮やかな「サンゴ」をイメージしてしまいそうですが…
今回紹介するのは「波の花」という冬の風物詩の一つです!
サンゴは、コントラストが強い色味・色鮮やか・涼しげなど、夏を連想させるものですね。
しかし、「波の花」はその真逆!
厳格!寒そう!モノトーン!など冬をイメージさせる幻想的な風景です。
遠目から眺めている分には、非日常的な感覚を楽しめる光景の一つです。
それでは早速見ていきましょう!
波の花ってどんなもの?
波の花は、能登半島や北海道などの比較的寒い地域に発生する海水の泡のことです。
日本海の冬の風物詩として有名ですが、太平洋に面した地域でも台風の影響で稀に発生することがあります。
どんなものかは、動画で見たほうが早いですね。↓の動画からどうぞ。
色彩が薄い冬らしいシーンであるとともに、波の花が風で舞う映像はなんとも幻想的ですね。
波の花が発生しやすい地域民の方は見飽きた光景だと思いますが…
一度は見たほうがよい風景の一つです。
日本海に面している県では、波の花が発生しやすい地域を観光スポットとして紹介しています。
さて、そんな観光スポットになるほどの「波の花」はどのような原理で発生するのでしょうか?
「発生する原因」と「注意点」を見ていきましょう。
波の花はなぜ発生するの?
発生する理由を知ると注意すべきこともわかります。
原因は主に3つあるといわれています。
・冬季の海水温
・植物性プランクトンの分泌物などを含む海水中の溶解物質
・「沿岸流」「季節風」による海水の流れ
それぞれ見ていきましょう。
波の花の原因1.冬季の海水温
一般的な液体は、温度が下がると粘度と密度が増加します。粘度は「トロトロ/サラサラ」「粘り気」のことですね。
粘度と液体温度の関係は説明すると複雑なので省きますが…
海水は温度が下がると粘度が増します。
そして、粘度と密度が増えると波の力(エネルギー)は大きくなります。
厳密には違うのですが、例として
トロトロの液体とサラサラの液体、どちらを頭から浴びたら衝撃が強いか?
と聞かれたら、トロトロの液体のはずです。なんとなくイメージできますね。
波のエネルギーが強くなることで、海中の海藻や溶解物をかき混ぜ取り込み、更に粘度が増します。
その為、海水温が低くなる冬季は、「波が荒く泡立ちやすい性質」を持ちます。
波の花の原因2. 海水中の植物性プランクトン
「冬の海は泡立ちやすい」だけでは、波の花は発生しません。
海水に溶け込んでいる植物性プランクトンが鍵になります。
海水中に含まれる植物性プランクトン、または、その分泌物は「泡を消えにくくする」性質があります。
「泡立ちやすい冬の海」 + 「泡を消えにくくする成分」が重なることで「波の花」は発生するといわれています。
植物性プランクトンは、簡単に言うと「極小の海藻/植物」です。
植物性プランクトンがなんで泡を消えにくくするの?
「ワカメやモズクのネバネバ成分みたいなもの」と言えばイメージしやすいですね。
厳密には、植物性プランクトン以外の溶解物質もあります。
それらは「界面活性剤」「起泡剤」のような役目を持ちます。
結果、泡が消えにくくなる。というわけです。
様々な物質が溶け込んだ海水は、まるで石鹸水のようですね。
波の花の原因3. 海水の流れ
冬は季節風の影響で沿岸流などの潮の流れが大きくなります。
先ほど解説した「海水温が下がると波のエネルギーは強くなる」そして「季節風での潮の流れ」。
両方が重なると波のエネルギーは更に強くなります。
「冬の波は力強くて危険」と言われる理由の一つでもあります。
台風で波の花が発生する可能性があるのも、台風の影響で潮の流れが大きくなるためです。
以上の3つが、偶然に重なり合うことで発生する現象が「波の花」です。
「冬の風物詩」
「波の花を見られたら幸運!」
「幸運を運ぶ波の花」
と言われている理由も、「波の花は冬の時期の偶然の産物だから」です。
滅多に無い現象をたまたま見られたらラッキーですね。
幻想的でレアな自然現象なのでぜひ観光に行きたいものです。
観光に行く際は、「波の花の注意点」もチェックしておきましょう。
波の花を見に行くときの注意点
さて、波の花のきめ細かい大量の泡…どこかで似たモノを見た経験はありませんか?
とても身近でうっかりミスで発生するアノ状況…
「洗濯機に大量の洗剤を入れてしまった時」にそっくりではないでしょうか?
ミスで発生した洗濯機の泡は、とても消えにくく後処理も大変ですよね?
同じ泡である「波の花」も同様に…いや、海水を含んでいるので…
それ以上に注意が必要です!
洗濯機は「海水」
石鹸水は「植物性プランクトン」
と考えると厄介さがイメージしやすいと思います。
注意点1. 強風・高波の危険!
発生理由で解説しましたが、「波の花」発生時は海が荒れていることが多いです。
不用意に近づいてしまうと、荒波に攫われる可能性があり危険です。
その為、浜辺や岩場に近づかず遠くから眺めておくことをオススメします。
近づいて撮影する場合は、安全できる場所を探して撮影しましょう。
また、強風で飛ばされやすいもの(帽子・マフラーなど)は極力避け、飛ばされない工夫が必要になります。
注意点2.塩害・サビの危険!
波の花は海水を含んだ消えにくい泡です。
強風で広範囲に飛んでしまいます。なので…
自動車・カメラにつくと高確率でサビます!
衣服につくと変色・シミになります!
そして、乾燥すると泥のようになります。髪についたら厄介です。
車で観光に行く場合は、帰ったら即洗車。服装は汚れても問題無い恰好をオススメします。
また、冬の時期は路面凍結や積雪の可能性がありますので、車の運転は十分注意しておきましょう。
注意点3.転ばないように!
波の花はヌルヌルして滑りやすくなっています。
岩場はもちろん、沿岸部周辺(歩道など)に散乱しています。
誤って踏むと転んでケガをするので、不用意に近づかず遠くから見ておきましょう。
また、ガラス片や金属片が混ざっている場合があります。踏んでしまうと大変なので注意です。
注意点4.触ったら手を洗う!
触っても問題はありませんが、手洗いは必須です。
もちろん、食べたり、肌に塗ったり、ダイブしたりするのはNGです。
波の花は「綺麗」であっても「清潔」ではないです。
海水は様々な物質が溶け込んだ液体です。
自然のものだけでなく「汚いなにか」「人工的な薬品」など含まれています。
どれも身体に良いものと言えません。
特に肌が弱い人・呼吸器官に問題がある人は触れないように注意しましょう。
まとめ
「波の花」は自然が生み出した神秘的な現象の一つです。白く染まった浜辺は壮観な光景です。
冬シーズンにしか見ることが出来ないので、ぜひ一度は見ておいてもよいでしょう。
狙い目は「海水温が低い」「海が荒れている」「風が強い」が重なる寒い地域です。
「波の花 観光」と調べれば、最寄りの観光スポットを探すことが可能です。
注意点をしっかり覚えて、綺麗な景色を見に行きましょう。
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