ニュースで使われる隠語まとめ。意味を知れば報道に興味が湧く情報

ニュースでショッキングな事件や事故が起こるたび、暴行する・いかがわしい行為など「詳細をボカした表現」が使われています。
なぜ、ニュースはわかりにくい表現を使うのでしょうか?
その表現に隠された本当の意味はなんなのでしょうか?
今回は「ニュース等で使われる隠語の意味」と「なぜ隠語が使われているのか?」を解説紹介します。
意味さえ知っておけば、今後のニュースへの興味が湧くかもしれません。
※多少ショッキングな表現があります。
事故・事件でよく見る言い回し
全身を強く打ち
身体の原型を留めていない状態のこと。
大きな欠損や臓器が外に飛び出ている状態でも使われます。
治療不可能なほどグチャグチャになっているとイメージすればよいですね。
○○を強く打ち
○○の部分がひどく欠損している。または原型を留めていない状態。
例えば「頭を強く打ち死亡」ならば「頭部がグチャグチャになって死んでいる状態」ってことです。
性別不明の遺体の意味
性別がわからなくなるほど損傷した死体のこと。
上2つより、欠損や腐敗や白骨化など遺体の状態が悪い状態の死体を示す用語です。
確かに人がミンチになっていたら、身元を判断する要素も無いですし、性別も判断できないですね。
同時に「死後一定期間がたっている」や「損傷が激しい」と書いてあることが多いです。
行方不明者が発見された時
無事保護されました
心身ともに問題なく発見された状態のこと。
怪我もなく"無事"に見つかった一番良い報告です。
保護されました
怪我や精神的にダメージがあるものの発見された状態のこと。
治療や精神的なケアが必要になりますが、生きているという報告です。
発見されました
行方不明者が遺体で発見された状態のこと。
すでに死んでしまっているパターンです。
どれも防災無線等でよく聞く言い回しですね。
「広報○○(市町村名)です」や「役場からお知らせします」って放送です。
たとえば、「広報○○です。△△日から行方不明だった××さんが、無事発見されました」と放送がされたら、始めと最後だけ聞いておけば行方不明者の安否がわかるわけです。
亡くなった人の言い回し
死体or遺体
死体は、身元不明の死者のこと。
遺体は、身元が判明している死者のこと。
ただし、身元不明でも遺体と呼ぶことがあるため、明確な使い分けがあるわけではありません。
死亡(死者)
死亡は、事故や事件で亡くなった場合の用語
死者は、事故や事件で亡くなった人数を示す用語
「死ぬ」や「死んだ」という表現は人に対して使われることはありません。
死去
病死や老衰など、自然の摂理で亡くなった場合の言い回し
似た言葉として「永眠」「他界」「逝去」があります。
「逝去」は自分の家族や身内以外へ向けた「死去の尊敬語にあたる言葉」です。
心不全
死亡理由を誤魔化すために「心不全」と表現される場合がある。
自殺やプライバシーに関わる死亡理由など、周りに知られたくない原因で亡くなった時の常套句が「心不全」です。
例えば「腹上死は恥ずかしいから心不全としよう」みたいな感じですね。
怪我や病気の度合いを表す言葉
軽傷
治るまで1か月未満の軽い怪我のこと。
例えば、擦り傷・捻挫・打撲など完治に時間がかからない怪我のことですね。
「重傷」は、警察庁によって定義された言葉で、基本的にニュースやメディアで用いられます。
重傷
治るまで1か月以上の怪我のこと。
例えば「タンスの角に小指をぶつけて骨折した!」「車に撥ねられて脚を骨折した!」
どちらも完治に1か月以上かかる場合は重傷になります。
重傷と聞くだけでは、どのくらいの怪我か判断しにくいですね。
「重傷」も、警察庁によって定義された言葉で、基本的にニュースやメディアで用いられます。
重体
病気・怪我に関わらず、命の危険がある状態のこと。
脳や内臓などに大きな問題がある深刻な状態に用いられる言葉です。
よく聞く「意識不明の重体」というのは「意識がなく、死亡する可能性が高い状態」を示しています。
命の危機にある状態なので「全治○ヶ月の重体」とは言いません。
※確実に治ると言えませんので
危篤
怪我や病気のせいで今にも亡くなりそうな状態のこと。
回復が見込めないと医師が判断した場合に一般的に使われる言葉が「危篤」です。
ニュースや報道でも用いられる言葉ですね。
『軽傷/重傷』と『軽症/重症』の違い
軽傷・重症は、病気や怪我の症状が軽度。または重度であること。
全治までの期間は関係ありません。
勘違いしやすいですが、病気と怪我どちらでも用いることができる言葉です。
そして、「軽症」「重症」はニュースや報道で使われる用語ではありません。
言葉の印象が似ているので、軽傷と軽症との違いがわかりにくいですね。
これは「警察庁によって定義された言葉」or「消防庁によって定義された言葉」の違いです。
もっとわかりやすく「傷が付く言葉(軽傷・重傷)はニュースで使われる言葉」「病が付く言葉(軽症・重症)は医療現場で使われる言葉」と覚えておけばよいでしょう。
重傷・重体・重症・重篤の違い
『重傷』『重体』『重症』『重篤』
…どれも似ていますが使われる場所が違います。
わかりにくいので表にしてみました。
生命に関わるか | 使われる場所 | |
重傷 | 命に別状はない | ニュース・報道 |
重体 | 生命の危険がある状態 | ニュース・報道 |
重症 | 命に別状はない ※正確には治療方針を決める区別 | 医療現場 |
重篤 | 生命の危険がある。 または入院の必要がある状態など | 医療現場 ※正確には薬事 |
例えば、身体検査のために病院へ行ったら大腸に良性ポリープが見つかったため、入院して切り取ってもらった。
このパターンだと、重体では無い(命の危険が無い)のに重篤な状態(入院が必要)になります。
わかりにくく覚えにくいですね。
それならば、一般的に使われる言葉である『軽傷・重傷・重体・危篤』の意味だけ覚えておきましょう。
日常生活で聞く機会が多い『ニュース・報道で使われる用語』さえ知っていれば困ることはないでしょう。
性犯罪などでよく聞く言い回し
暴行する(乱暴する)]
どちらも合意がない性行為、つまり強姦を示しています。
基本的に被害者が女性の時に用いられます。
ただし、強姦罪が強制性交等罪に名称変更されて男性も対象になったため「被害男性が乱暴された」と言うのはおかしい表現ではありません。
殴る蹴るなどの暴行
文字通り、暴力を振るわれること。
こちらは性的加害ではなく、単純に殴ったり蹴ったりする方の「暴行」を意味します。
みだらな行為(淫行)
両者の合意がある青少年に対する性的加害のこと。
正確には夫婦間以外の性交を示すものですが、ニュースで主に使われるのは青少年に対した性的加害のことです。
「みらだな行為」は青少年保護育成条例などに出てくる表現で、同意がない場合は、暴行と表現されます。
例えば、未成年者をだまして性交または性交類似行為を行うと同意があったとしても条例違反になり捕まり処罰されます。
条例は地方自治体によって異なるため、どんな行為が性交または性交類似行為に当たるか異なります。
わいせつな行為
合意がなく性的に相手を辱めること(性交まではしていない)
キスや胸を触れる。または裸の写真を撮るなどの相手を辱めるセクハラ行為を示しています。
「みだらな行為」との違いは、性交または性交類似行為をしてないことです。
いかがわしい行為
反道徳的な行為。または、物事のこと。
「みだらな行為」「わいせつな行為」とほぼ同じ意味ですが、主に物事の詳細をボカす時、怪しげな物事を表現する時に用いられる表現です。
「何かをしていたけど詳しく説明するには怪しいor卑猥すぎるから誤魔化そう」って時に使う言い回しですね。
書類送検
被疑者(犯罪の疑いがある人)を拘束せず、捜査資料を警察から検察に送ること
実は「書類送検」は法律の用語ではなく、マスコミが作った言葉です。
『書類送検』を簡単に説明すると
警察が行う犯罪捜査は「被疑者を逮捕して捜査するケース」と「逮捕しないで捜査するケース」の2つに分けられます。
・前者は被疑者の身柄と捜査資料を合わせて検察庁へ送る
・後者は捜査資料だけ検察庁へ送る。←これを書類送検と呼ぶ。
そして、事件を起訴する権利は検察にあります。
警察から送られた捜査資料や被疑者から取り調べをして、起訴するor起訴しないを判断します。
つまり、被疑者が逮捕されていない状態で捜査責任が警察から検察へ代わることってことですね。
もちろん、起訴されなければ前科が付くこともないので、書類送検される=犯罪者というわけではありません。
なぜニュースはわかりにくい言い回しをするのか?
ニュースや報道で使われる隠語は、主に直接的な表現を避けることで視聴者に与えるショックや不安を少なくするためだと言われています。
同時に、放送上で不適切な用語を使わないための言い回しでもあります。
報道されることは、メディアの配慮というフィルターがかけられているため一般的にわかりにくくなっています。
しかし、隠語と配慮に隠された意味を知っておくと普段のニュースに対して興味が湧くかもしれません。
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