人参の皮むきは必要?むかない方が栄養あるって本当?人参に関するアレコレ

アナタは人参の皮を剥く派ですか?剥かない派ですか?
「ニンジンの皮もおいしく! 増税に勝つ食べ切り術」なんて日経新聞の記事がある程度には「節約術」として活用している方も多いと思います。
巷では、野菜は皮と身の間が一番栄養ある!なんて言われていますし
料理研究家の方も「皮を剥かないズボラテク!」として紹介していますね。
しかし、それらはすべて本当のことでしょうか?
良いことだらけならば、皮を剥かない派だけが存在する世界になります。
そこで今回は、「人参について知っておきたいこと」を紹介したいと思います。
人参の知識を持っていれば、適切な調理法を見つけ出すことができますよ!
人参の皮だと思っている部分について
そもそも人参の皮の部分は、実はむけています。
露出した身の表面…というと、少し違いますが
表面の薄皮だけ剥けた状態です!
出荷時の泥や汚れをきれいに洗浄する工程で、人参の薄皮はほとんど剥けてしまいます。
理科の用語でいうと「表皮」の一部がむけた状態です。
「表皮」とか…用語で言われてもわからないよ!!
では、人参の断面図をみてみましょう。後々説明で使います。

普段食べている人参は、ほとんど根っこの部分です。
ニンジンの根は、ざっくり分けて「表皮」「皮層」「内皮」「中心柱」の4つに分かれています。
※あくまでザックリです。
・「表皮」が実際の皮。
・「皮層」が人参の栄養をためている部分
・「中心柱」が小学校の頃に覚えた「師管・道管・維管束」の部分
・「内皮」は、維管束を取り囲む細胞の壁
とりあえず、大雑把ですがこんな感じです。
小学校の頃の理科の授業を思い出しますね。
身近な人参でも、複雑な構造をしていることがわかります。
結局何が言いたいの…?
全部食べられる部分だよってこと
実際の皮である「表皮」がついたままでも、皮だと思っている「内皮」がついたままでも
安心して食べられる部分です。
コンマ数ミリの以下の表皮で、ここは食べられない部分!なんて分けられるはずがありません。
ピーラーで薄く皮をむいても表皮の一部は残りますし…どれも人参を構成する一つです。
農薬の心配があるから皮を剥いていた人もいるでしょうが…
普段食べる人参は根です。農薬がかかる心配はありません。
そして
食べて害があるほどの農薬が使われているならば販売されていません
※どうしても気になるなら剥いてしまいましょう。自分が安心できるのがなによりです。
残留農薬の対策をしていた人にはガッカリな情報ですが…
人参の皮を剥くのは間違ったことではありません!
でも、皮を剥かないのはダメ!ということでもありません。
クエスチョンマークが大量発生しそうですが、最後まで見ていただけるとわかります。
次に行ってみましょう。
人参の皮と身の間には栄養たっぷりって本当?
この家庭でよく聞く「人参の皮と身の間には栄養たっぷり」という豆知識。
改めて考えると、不明瞭なことが多いです。
栄養とはなんのことか?
皮と身の境界線はどこか?
いまいちイメージしにくいですね。
先ほどの断面図を思い出してください。
洗浄ではがれてしまうほど薄い間に栄養がたっぷりあるなら、栄養は泥とともに洗い流されているはずですね。
人参からしてみれば傷ついたとき、養分が簡単に流出する部分に栄養をためるはずがありません。
そして、その栄養とはなんなのか?
人参の栄養といえば「カロテン(ビタミンA)」
そして、ニンジンの甘味の元になる「ショ糖」
ショ糖は、植物がどのように作り出しているか知っていればイメージしやすいです。
光合成でデンプンを作り出し、ブドウ糖に分解され、ショ糖に変換されて師管を通って根の細胞に貯蔵される。
その貯蔵される部分が断面図で言う「皮層」付近です。
意外と内側にもあるんだね!
中心部分は少ないけどね
植物の構造は、キッチリ明確に分かれているわけではありません。
実物の断面図を見るとわかりますが、グラデーションのようになっています。
少なくともショ糖は、皮と身のギリギリの間にたっぷりあるわけでないです。
カロテンについては、改定された日本食品標準成分表を見たほうが早いです。
「特定部位による栄養の差は無い」とされています。
以上のことから、皮の近くは栄養豊富!とは言えず、誤差だということです。
皮をむいたほうが良い!と意気込むより、人参自体の良し悪しを判断できたほうがよいですね。
「人参の皮と身の間には栄養たっぷり」という豆知識が広まったのは、
生ごみ・調理の手間を少なくするための方便なのかもしれません。
結局、人参は皮をむく?むかない?どっちなの?
ズバリ!!
調理法によって使い分けろ!です。
皮を剥かないと「生ごみは少なく、食べる部分を多くとる」ことができます。
皮を剥くと「食べたときの不快感なく見た目を向上させる」ことができます。
どちらもメリットがあります。
皮を剥く派と剥かない派が両方存在するのは、このためです。
例をあげてみます。
皮をむかないほうが人参の香り・食感・歯触りを維持できます。
皮ごとでも不快感なく、むしろ美味しく感じられます。
逆にむいてしまうと、皮の歯ごたえが失われてしまう可能性があります。
皮を残したまま調理すると、皮がめくれ見た目が悪くなってしまうだけでなく、
口の中に皮が残り、食べていて不快感を覚えます。
そして、味が染みにくいです。
如何に人参を美味しく調理できるか改めて考えてみることが大切です。
人参の特性を知ることで、普段の料理を向上させることができます。
これは、人参だけでなくすべての野菜で言えることです。
人参は毒があるって本当!?
まれに見かける質問ですが、毒はありません。安心してください。
こういった疑問がでるのは「ドクニンジン」「ビタミンA過剰症」「アスコルビナーゼ」のせいなのでしょうか・・・
ドクニンジン
人参はセリ科ニンジン属。ドクニンジンはセリ科ドクニンジン属です。
普段食べている人参と別の植物です。
これに関しては、名前が誤解を招きやすいパターンです。
ビタミンA過剰症
ビタミンA過剰症は、最悪の場合 死に至る危険があります。
が!
人参を大量摂取しても簡単になるわけではありません。
ビタミンA過剰摂取による健康上のリスク
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/13.html
ビタミンAは脂溶性であるため、体内、主に肝臓に過剰に貯蔵され、その量は蓄積されていきる。過剰量の既成ビタミンAの毒性は非常に高いのであるが(いわゆるビタミンA過剰症)、β-カロテンやその他のプロビタミンAカロテノイドの大量摂取により重大な有害作用が起こることはない
簡単に言うなら、「野菜に含まれるビタミンAでは、ビタミンA過剰症になりませんよ~」ということです。
もし、ビタミンA過剰症になるとしたらレバーの大量摂取ですね。
アスコルビナーゼ
「アスコルビン酸オキシダーゼ」とか「アスコルビン酸酸化酵素」とか言われていますが、置いておいて…
キュウリ・人参のほか、キャベツやバナナにも含まれています。
ビタミンCを破壊する酵素として有名です。
実際は「アスコルビン酸(ビタミンC)を酸化させる酵素」です。
だから「アスコルビン酸酸化酵素」。
意味わかんないんだけど!!
うん、わからなくていいし気にしなくていいよ!
破壊する = 機能しなくなる とイメージしてしまいますが、実際はビタミンCが酸化させるだけです。
そして、酸化したビタミンCは体内に入っても通常のビタミンCと同様に機能します」
わかりやすく言えば「特に影響がない」です。
ビタミンC
五訂増補日本食品標準成分表 [第1章]
ビタミンCは、生体内の各種の物質代謝、特に酸化還元反応に関与するとともに、コラーゲンの生成と保持作用を有する。さらに、チロシン代謝と関連したカテコールアミンの生成や脂質代謝にも密接に関与している。欠乏により壊血病等が起こることが知られている。食品中のビタミンCは、L‐アスコルビン酸(還元型)とL‐デヒドロアスコルビン酸(酸化型)として存在する。その効力値については、科学技術庁資源調査会からの問い合わせに対する日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会の見解(昭和51年2月)に基づき同等とみなされるので、成分値は両者の合計で示した。
ここまで気にしてしまうと、かえって栄養を取り逃してしまいそうですね。
まとめ
人参の皮の剥き方、そして豆知識をまとめて紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
何もかも気にしてしまっては、大切な栄養を摂取できません!
ですが、食事を美味しく食べることも大切です。
人参の特性を知って、調理法に合わせて、美味しく調理することがなにより重要です!
さらには人参に毒があるなんて言語道断!しっかりと栄養を摂取していきましょう!
野菜に含まれる毒については↓の記事で紹介しています。
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