ピーナッツは身体に良い?身体に悪い?よくわかるピーナッツの知識

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ピーナッツは身体に良い?身体に悪い?よくわかるピーナッツの知識

お菓子やおつまみとして、ついつい食べてしまうピーナッツ。

そんな美味しいピーナッツですが、次のどちらか聞いたことはありませんか?

 

 

「ピーナッツは体に良いからしっかり摂取することが理想」

VS

「身体に悪いから食べ過ぎないこと」

 

…と二極化した意見があります。

 

どちらが正解なのかわかりませんよね?

今回は「ピーナッツに含まれる栄養素」「身体に悪いと言われる理由」をピーナッツの豆知識と共に紹介します。

ピーナッツの主な栄養素

ピーナッツの栄養素乾燥落花生 可食部100gあたり
エネルギー560kcal
タンパク質25.2g
脂質47g
炭水化物19.4g
飽和脂肪酸8.25g
不飽和脂肪酸36g
ビタミンE 11.4mg
ナイアシン19.5mg
カリウム740mg
カルシウム49mg
マグネシウム170mg
リン200mg

日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

ピーナッツに含まれる主な栄養素はこれくらいですね。

 

簡単にまとめ

・高カロリー食品であり、効率の良いエネルギー食。

・オレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が含まれる

・ビタミンEが豊富で不飽和脂肪酸などの酸化を抑える作用が期待できる。
※動脈硬化や心筋梗塞の予防に役立つと言われている。

・脂質・糖質・タンパク質の代謝に必要なナイアシンが多く含まれる。
※アルコールの分解を助ける働きがあります。

・カリウムからマグネシウムなど、ミネラルがバランスよく含まれている。

 

毒性は無く、しっかりと栄養があり、日常的に食べる分には問題ないことがわかります。

他の食品と合わせてバランスよく食べれば身体によいと言ってよいでしょう。

もちろん、食べ過ぎはダメですよ?

さて、次はピーナッツのよくある疑問を見ていきましょう。

ピーナッツへの疑問

食べ過ぎると太るって本当?

毎日適量なら太りにくく。食べ過ぎると太ります。

 

ピーナッツは脂質が多くカロリーが高いため、太りやすい食品と勘違いされやすいですが…

実は太りにくい食品です。

 

有名な話で「15名の健康な成人に普通の食事 + 約100gのピーナッツ(500kcal分)という食生活を8週間続けさせる試験(Int J Obes Relat Metab Disord 2002;26:1129-37)」があります。

予測では普段の食事とピーナッツのカロリーから3.6kg太るとされていました。

しかし、結果は、体重増加 1kg!

加えて、満腹感の維持や娯楽としての間食として有効性があるとされています。

 

要は、摂取エネルギーが大きい割に、太りにくく満腹感が得られる食品ってことです。

 

ただし、短期間だけの摂取だと太る。食べ過ぎると太ってしまうという研究結果も存在します。

間食としてピーナッツを毎日少量ずつ食べる分には問題ないと言えるでしょう。

少なくともスナック菓子を毎日食べるより健全です。

ニキビが出来やすくなるって本当?

真偽はわからない。が、出来やすいかもしれない。

 

適当なことを言っていると思われそうですが…

実のところ、ピーナッツとニキビの因果関係はわかっていません。

 

しかし、一部の専門家から「理由はわからないが関係はある」とされニキビが酷い人はピーナッツを避けるように警告しています。

これはピーナッツの高い脂質やカロリーによる皮脂分泌を高めてしまうため。または、食べ過ぎてニキビが出来てしまったという実体験からと思われます。

反論として、個人の体質・成長による体質の変化での差が大きいという意見が存在します。

 

両方をまとめると、食べ過ぎるな!ピーナッツの摂取は自分の体質と相談しろ!ってことですね。

ピーナッツにコレステロールは含まれる?

含まれない!!

 

そもそもコレステロールは動物由来の成分なので、ピーナッツのような植物には含まれていません。

サラダ油・ごま油・ピーナッツオイル・オリーブオイルなどなど…

植物由来の油には元からコレステロールは存在しないです。

コレステロールゼロという記載はトリックで、○○が含まれていないなら安全という先入観を利用した売り文句です。

ピーナッツは血管や心臓の病気予防になる?

心筋梗塞などのリスクを下げると言われている。

 

ピーナッツやナッツ類に含まれる油は血管に良い効果があるとされています。

これはピーナッツに含まれる油が、コレステロールのバランスを整えたり、血管を保護したり、心筋梗塞などのリスクを低下させるためです。

よく聞く植物由来の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のお話ですね。

研究結果が多く存在しているので、ある程度信用が出来るでしょう。

ただし、他のナッツ類の油に比べ、ピーナッツに関してはバランスが良いとは言えません。

心臓病予防目的ならば、他の植物油を合わせて摂取することが理想です。

ピーナッツの油分が心臓病予防に向くというよりも…

食物繊維・ビタミン・ミネラルがバランスよく含まれている食品と考えたほうが良いでしょう。

ピーナッツは身体に悪いウソホント

ピーナッツに対する悪いイメージ付け

一部の情報源では、ピーナッツ=健康に悪いとイメージさせるために紹介している時があります。

例えば
「ピーナッツを食べ過ぎると身体に悪い?」と専門家に質問した

結果「食べ過ぎは身体に悪い」という答えが多かった。

ピーナッツの食べ過ぎると○○に対して悪影響を与える可能性がある

当然ですが、ピーナッツに限らず、どの食品も食べ過ぎたら逆効果です。

ピーナッツを含む全ての食品は、適切な量を適度に摂取することが理想です。

ピーナッツは"ナッツ"ではない

ナッツを毎日食べると脳卒中の予防になる!がん予防になる!とよく目にしますね。

確かに、ナッツ類は身体によい食品として扱われることが多く、数多くの研究結果が存在します。

ただし…

ピーナッツは、ナッツの仲間ではなくマメの仲間です。

そのため、ナッツ類は身体に良いという情報はピーナッツが含まれない時があります。

メディアや一部情報源では、ナッツ類とピーナッツを同じ物として紹介するモノが存在するので注意が必要です。

中国産のピーナッツは危険という話

「中国産のピーナッツは危険」という話は有名ですね。

ピーナッツ・トウモロコシ・穀類にカビが発生すると「アフラトキシン」という毒素が作られます。

 

アフラトキシン B1 は遺伝毒性が関与する強い発がん物質で、ほとんどの動物種の肝臓に悪影響を与えることがわかっていて、肝細胞がんとの関連が指摘されています。特に、B 型肝炎に感染している人では肝細胞がんが発生するリスクが
高くなるとされていることから、摂取量を可能な限り低減すべきとされ、食品衛生法において食品中に検出されてはいけ
ないこととして規制されてきました。

引用:食品安全委員会_メルマガ総集編

 

アフラトキシンは、自然界にある最強の発がん性物質であり、動物の肝臓に悪影響を与えるとされています。

更に、カビ毒は熱に強く・加工調理しても毒性は弱まることはありません。

慢性的な摂取で肝臓がんのリスクが高まると、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が呼びかけているほどです。

 

なぜ中国産は危険と言われるようになったの?

過去に基準値を超えたアフラトキシンが検出されたから

 

食品衛生法違反となった事例「違反事例速報(令和元年度)」によると

アメリカと中国から輸入されたピーナッツ製品から基準値を超えるアフラトキシンが検出される件数が飛びぬけて多いです。
※その他、国からの輸入品でも検出有り

アメリカや中国から輸入する量は多いので、違反件数も多くなる。当然ですね。

そのため、中国産が危険と言うより…

 

「カビが生える環境にあったピーナッツが危険」と言うことになります。

なぜ輸入品ピーナッツ製品でアフラトキシンが検出されるのか?

理由は2つあります。

 

一つ、天日干しの乾燥不足

輸入される落花生は、その国の落花生農家から卸されたものです。

各農家の乾燥させる期間の違い、品質管理の違いから、カビが生えてしまう落花生が発生してしまいます。

カビは湿気があると発生しやすく、アフラトキシンも発生しやすいです。

 

かと言って、全ての海外落花生業者が衛生的な問題を抱えているわけでは無いです。

衛生的に問題がある食品は、誰も買いたがりませんし売れません。

日本の基準を満たすために、出来る限り清潔な環境で製品を作っていると考えてよいでしょう。※雑な業者が存在しないわけではない

 

2つ、輸送中のカビ発生

基準を満たすように作っていても、なぜアフラトキシンが検出されてしまうのか?

この原因は、輸送時の環境にあります。

海外から日本への輸送手段は主に船です。

船内は、日光が無く・湿気が多く…カビが発生しやすい環境です。

湿気が多い船で移送する間にカビが生えて毒素(アフラトキシン)が発生してしまう。

要は、収穫前や加工中に発生するわけではなく、輸送中に生じる問題ってことです。

これはピーナッツに限らず、船で輸入される食品全てに言える問題ですね。

まとめ

以上が、ピーナッツに含まれる栄養素体に悪いと言われる理由でした。

要点
・適量食べるならピーナッツは優秀な食品
・食べ過ぎるとダメ
・ピーナッツ自体が危険なわけではない

おやつ感覚として食べる分にはミネラルやエネルギー効率の良い食品なので怖がらず。しかし、食べ過ぎずピーナッツを楽しみましょう!

 

参考文献
Effects of chronic peanut consumption on energy balance and hedonics.
Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality
食品安全委員会_メルマガ総集編
厚生労働省:違反事例速報(令和元年度)