サザエから赤い汁が出てきた!血液なの?知って得するサザエの豆知識

サザエは通年安定して水揚げされ、たびたび見かける身近な巻貝です。
お刺身やつぼ焼きがメジャーな食べ方ですが、真っ赤な液体が出てきたことはありませんか?
サザエの血って赤いの?!
気味が悪い!食べて安心なの?
こんな不安や疑問が出てくると思います。
今回は、「サザエの赤い液体」と「サザエの食べ方」を豆知識と共に解説します。
サザエの赤い液体の正体
赤色~ピンク色の液体がドバっと出てくると…トラウマ級の衝撃がありますね。
捌いてみないとわからない。あまり見かけないケースです。
結論から書くと、ズバリ!
消化された海藻です!
サザエは、海藻を食べて育つ巻貝です。食べる海藻の種類によって、内臓や肝が赤みを帯びる事があります。
捌いたときの衝撃で、肝を切り裂いてしまい、液状化した内容物が流れだしたことが原因です。
一見すると、真っ赤な血液のようで気味が悪いです。
が、食べる分には問題が無いとされています。
どうしても気持ち悪いなら、捨ててしまうか交換してもらいましょう。
液体じゃない赤い部位があるんだけど…
赤い部分は、サザエの口です。
全てのサザエに存在する部位なので、心配する必要はありません。
しかし、硬く食感が悪いので取り除いても良いでしょう。
本当に食べても大丈夫?
真っ赤な色は、鮮血を思い出しますが、「トサカノリ」などの赤い海藻が原因です。
トサカノリなんて海藻聞いたことがない!怖い!
ご安心ください。
海藻サラダを食べた時、赤い海藻が入っていた経験はありませんか?あの海藻です。
「トサカノリ」は、お刺身のツマや彩りに使われる海藻の一つです。
サラダやお味噌汁の具にも使われています。
人間も食べている海藻なので、問題は無いとされています。
サザエの危険性は?寄生虫は?
最近、貝毒で食中毒の事故が多く心配ですよね。
そもそも貝毒がなぜ発生し危険なのか
毒素を含むプランクトンを貝などが食べ、その毒素を蓄積します。
引用元:貝毒の特徴 農林水産省HPより
主に二枚貝(ホタテガイやアサリなど)に蓄積します。
症状により、麻痺性貝毒や下痢性貝毒に分類され、複数の毒成分からなっています。
毒成分は熱に強く、加熱調理しても毒性は弱くなりません。
毒素を含むプランクトンがいなくなれば、その海域の二枚貝等の毒は体内から減少します。
加熱しても毒が消えないのは、怖いですね。
しかし、
サザエは、貝毒の心配が殆ど無い巻貝の一つです。
なぜなら、毒素のあるプランクトンを食べていないからです。
サザエは海藻をメインに食べている巻貝です。
海藻を餌にしている巻貝類は、殆ど貝毒の心配は少ないと言われています。
「アワビ」も同様に、貝毒は殆ど無いとされています。
寄生虫の心配は?
サザエには、ほぼ100%「サザエノハラムシ」が寄生しています。
大きさは、5~8mmほど
主な寄生先は、サザエの口腔内です。
ですが、安心してください。
人間に害はありません!
万が一食べてしまっても、問題ありません。
寄生虫=危険なモノ というイメージが強いです。
しかし、自然の中で生きている生物には、ほぼ100%寄生虫がいます。
種類も数も多く、寄生虫専門の博物館が存在するほどです。
人間に害を与える寄生虫は、ごく一部ということを覚えておきましょう。
サザエは、生でも食べられる?
サザエをもらったけど、お刺身で食べられる?
どんなモノでも、生食はハードルが高いですよね。
大丈夫です。サザエは生で食べられる貝です!
塩で揉んで、薄切りにした身はコリコリした食感が堪らない美味です。
しかし、注意しないといけないことが2つあります。
それは、鮮度と汚れです。
鮮度が悪いと、腸炎ビブリオによる食中毒の可能性が出てきます。
貝類は、細菌の繁殖が早い魚介類です。そして、天然の魚介類は汚れの塊です。
サザエを生で食べるときは、鮮度の確認・しっかりと塩で揉み洗いが大切です。
サザエの肝って生でも大丈夫?
サザエの肝というと、クルクルとした部分の事だと思います。
もちろん、生でも食べられる部位です。
どうしても気になるなら、サッと湯通ししても良いでしょう。
サザエのクルクル(肝)の部分の意味は?
クルクルした部位って何のためか考えたところはありますか?
謎の見た目で意味が分かりませんよね。
しかし、意味はともかく…一番食べるべき部位です!(嫌いなら仕方ないですが…
・「生殖腺」「生殖巣」で、オスがクリーム色・メスが緑色なんだよ
・サザエの排泄物だから、食べない方がいい
排泄物なんて言語道断!!
生殖腺は、半分正解!
実際は、「消化腺の一部」です。そして、「旬のサザエの一番栄養価が高い部位」なんです!
ザックリ説明すると
サザエは、食べ物の前に生き物です。そして、原始的な生物です。
人間のように、消化器官・肝臓・膵臓などの臓器がハッキリと分かれていません。
サザエのように原始的な生物に近いと、いろいろな機能を持つ内臓の一塊(消化腺)になります。
生き物なので、種の繁栄のために余った栄養をため込む必要があります。
その栄養貯蔵庫が、いわゆる「生殖腺」です。※クルクルの先端部分
なので、旬(繁殖期)が近づくと「栄養がパンパンに詰まった生殖腺」になります。
つまり、旬のサザエの中で、一番食べるべき部位だ!と言えます。
サザエ=苦いは、半分間違い!
サザエと言ったらツボ焼きですね!
しかし、めちゃくちゃ苦い個体に当たったことはありませんか?
苦いのがうまいんだよ~
苦いのがサザエなんだよ~
たま~に言っている人がいますが、適切な処理をしたサザエは殆ど苦く無いです。
サザエの苦い部分は、「外套膜の一部」です。
簡単に説明すると「サザエのハカマ」と呼ばれている部位です。
他の貝ならば、「ヒモ」と呼ばれている部位です。(ホタテのヒモ美味しいですよね。
次いで、「内臓の一部」も苦いとされています。
なぜ苦いのかは、わかりません(笑
詳細が分かり次第、追記します。
外套膜は、炭酸カルシウムを分泌して貝殻を作り出す器官なので、単純に分泌物の苦さなのかな?と思っています。
内臓の一部は、砂が入っていることが多いです。
丁度、クルクルと蓋の実の間のごちゃごちゃした部分です。
苦い苦くないに関わらず、除去して食べることをオススメします。
※食べても問題ありません。
また、生殖腺は「めちゃくちゃ苦い!!」でなく「ほろ苦い大人の味」です。
ほろ苦いのが大丈夫ならば、旬のサザエの肝はぜひ食べたい部位ですね。
まとめると、苦い部位と美味しくない部分はしっかり除去して食べましょう!ということです。
どうせ食べるなら、手間をかけて美味しく食べた方が得です。
日本のサザエは新種だった!?
完全に豆知識・うんちくの域です。面白いので紹介しておきます。
実は、普段食べているサザエは新種だったのです!!
意外な事実ですよね。
誰でも知っているのに新種ってどういうこと?
簡単に説明すると、新種として扱われるものは、学名が無いものです。
学名が無ければ、生物学では、正式に存在しないものとして扱われます。
つまり、普段食べている日本のサザエは学名が無かったのです!面白いですね。
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)の福田宏准教授は、欧米の古文献を再調査した結果、日本では食用として広く知られている貝類のサザエが、これまで有効な学名をもたず、事実上の新種として扱われるべきであることを解明し、サザエの学名を新たに「Turbo sazae Fukuda, 2017」と命名しました。
引用:岡山大学 驚愕の新種! その名は「サザエ」 250年にわたる壮大な伝言ゲーム より
2017年に発表されました。つい最近の話です。
身近なものでも疑ってみると意外な事実ある!なんて、良い例え話にも使えそうですね。
まとめ
サザエの「赤い汁の正体」と「サザエの豆知識」を合わせて紹介しました。
年中食べられるサザエですが、意外な発見が多かったですね。
最後に要点をまとめて終わります。
・サザエの赤い汁は、消化した海藻!
・サザエは貝毒の心配が少ない貝の一つ!
・生食は、鮮度と汚れに気を付けよう!
・下処理をすれば、サザエは苦くない!
・実は、日本のサザエは新種だった!
以上です。お読みいただきありがとうございました。
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